【書籍・雑誌】

漫画喫茶での陰棲:桜玉吉のこれまでと『漫喫漫玉日記 深夜便』

桜玉吉、久しぶりの単行本が発売されたので購入した。 漫喫漫玉日記 深夜便 (ビームコミックス)桜玉吉 新装版でも文庫でもない玉吉の単行本が出るのは本当に久しぶりだ。発売日に書店で買い逃したのでAmazonで注文しようすると「2〜3週間以内に発送」になっ…

このマミさんなら結婚できる:『巴マミ1○年後』と『巴マミの平凡な日常』

皆さんもよくご存知のことと思うのだが、『月刊ガンダムエース』という雑誌がある。ガンダム関連マンガ誌というか、オフィシャル化した二次創作マンガを載せる雑誌だ。 これまでも『ケロケロエース』とか『マクロスエース』みたいな雑誌が出版されてきたわけ…

天皇としてのタモリ:『タモリ論』

タモリ論 (新潮新書)樋口 毅宏 テレビの画面に、タモリ、たけし、さんまがいました。 僕は人知れず、呟いていました。 ――神々が揃った。 同じ時代を生き抜いた、戦友とも言うべき三人のトークは、恐ろしいほど面白かったです。 (中略) その内容もさること…

断罪する嫁:『凶悪』

『凶悪』鑑賞。 凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)「新潮45」編集部 有名なルポルタージュ『凶悪―ある死刑囚の告発―』が映画化されると聞いたのは『冷たい熱帯魚』が大ヒットした直後だった。だから映画『凶悪』は『冷たい熱帯魚』のフォロワー作品みたいな…

ひとりの戦い:『選挙2』と『映画「立候補」』と『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』

随分前に『映画「立候補」』を観たのだが、同じような題材を扱っている『選挙2』共々、確かに面白かった。自分の仲間うちでは『映画「立候補」』の評価が高く、何故か感想をブログやらSNSやらで書くのが流行っており、それらを読んでいたら自分も書きたくな…

来るべき虚淵ライダー:『語ろう!クウガ・アギト・龍騎』

次の秋からの新ライダー『仮面ライダー鎧武』の脚本が虚淵玄であることが発表された。わくわくである。自分は『フォーゼ』や『ウィザード』のコメディっぽさがあんまり好みじゃなくて、ここ最近の『ウィザード』がシリアスになっていることに興奮しているク…

怒りの資格:『今日もいい天気 田舎暮らし編』、『同 原発事故編』

お気に入りのラジオを聴きながらコーラとか飲みつつ360をプレイするのが最高の幸せと考えている昨今だ。 先々週くらいの『きかせられないラジオ』で紹介されていた『今日もいい天気』を読んだのだが、えらい面白かったのでご紹介したい。 ある程度年齢のいっ…

おっさんのゆるさ:『久住昌之のこんどは山かい!? 関東編』

なんでもドラマ版『孤独のグルメ』シーズン3が準備中のようで、非常に嬉しい。それも赤羽ということは、やはりまるます屋で撮影なのだろうか。ドラマで紹介されて混む前に一度行っておきたいなぁ。実は、『Dr.マクガイヤーの冒険式映画ゼミ』の撮影は赤羽周…

世界よ、これが日本の変態だ:『HK 変態仮面』

ええ年こいた大人の男であるにもかかわらず、映画も観ず、ゲームもやらず、漫画も読まない奴は信用できない――自分はわりと本気でそう考えているわけですよ。 別に観る映画や読む漫画雑誌はなんでもいい。10代なら10代、30代なら30代にとっての読むべき漫画雑…

何故AKBは彼氏を作らないことを公言するのか:「いいひと」戦略

ふう。約二ヶ月ぶりの更新だ。 某仕事がちょっと忙しかったのでブログの更新をしないでいたのだが、それも一段落したので、そろそろ再開しようかと思う昨今である。「おまえのブログがなかなかメジャーになれないのは更新頻度が低いせい」などと言われたので…

『オタクの息子に悩んでます』

何回か書いているのだが、自分はFREEexという岡田斗司夫に月一万円支払いつつ仕事も手伝うという、どう考えても信者な集まりに参加しているのだが、そこから新刊が発売されたので紹介したい。 オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬…

『特撮仕事人 特撮監督 佛田洋の世界』

「特撮博物館」の会期中に紹介しようと思っていた本があるのだが、ちょっと野暮用をこなしている間に終ってしまった。 それでも、全国巡業の検討もしているそうだし折角なので紹介しようかと思う。 「特撮博物館」で自分が一番不満だったのは、東宝に円谷に…

邦画はなにを殺すためにあるのか:『映画は父を殺すためにある』

映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)島田 裕巳 島田裕巳の『映画は父を殺すためにある』読了。本を読む遅さには自信がある自分だが、本書はさっくり読めた。めっさ面白かったよ。 本書の内容は、大きく分けて二つある。通過儀礼とい…

傷ついた友達さえ置き去りにできるウルトラソルジャー:『ミカるんX』

先日オタク大賞R13を観覧してきた。年齢のいった特オタには無視されがちな平成特撮、それも2000年以降の特撮作品を語りまくるというイベントだったのだが、たいそう面白かったよ。 「『クウガ』と『タイムレンジャー』の頃まで戦隊・ライダーは特撮の中でも…

フード理論と映画的記憶(とジロリアン):『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』

タマフルでお馴染み福田里香センセイの新刊を読了。 ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50福田里香 オノ・ナツメ この本、どんな本かというと、映画やマンガといった映像・画像作品における食べ物――「フード」の役割について延々…

フィクションと現実との距離:『ヒミズ』

園子温による映画『ヒミズ』を鑑賞したのだが、ちょっとがっかりしてしまった。うーん。なんだか自分にとっては『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』みたいだなと思った。昔、自分だけがその魅力を理解していて、自分だけが好きだった女の子が、万人受けするオト…

ライダー先進国・怪獣後進国

先日、まるで灼熱のインドの闇市のような夏コミに行ったのだが、そこで『月刊ヒーローズ』の『ウルトラマン基金』同人誌なるものを買った。 これが面白かったので、ちと紹介したい。 まずは『月刊ヒーローズ』の看板連載らしき、清水栄一×下口智裕@『ライン…

ありがとう赤松先生!:『がらくた屋まん太』がJコミで公開

以前、本ブログで紹介した『がらくた屋まん太』がJコミで公開された。 がらくた屋まん太 1~最新巻(アスキーコミックス) [マーケットプレイス コミックセット]能田 達規 ご存知の通り、Jコミは広告を入れることで絶版漫画を無料で配信するサイトだ。だから、A…

ネガの世界:伊上勝評伝

自分はこの歳になっても日曜朝の特撮タイムを一週間の楽しみの一つにしているおっさんなのだが、おっさんになる遥か昔からウルトラマンやスーパー戦隊やメタルヒーローの方がライダーよりも好みで、現在も平成ライダーの方が昭和ライダーよりも好きだったり…

『鈴木先生』とテロリスト

『鈴木先生』11巻読了。 11巻感想 『鈴木先生』11巻読了。 鈴木先生(11) (アクションコミックス)武富 健治 単行本派な自分は毎回毎回ハァハァ言いながら読んでいるわけなのだが、堂々たる完結だった。 当初から過剰なことが大いにウケていたマンガだったが、…

今こそ読みたい『がらくた屋まん太』最終回

いかなる困難に出会おうとも、自己を直視すること以外に道はない。 いかに悲しみの涙の淵に沈もうとも、それを直視することの他に我々にすべはない。 海を見つめ。大海に出よ。嵐にたけり狂っていても海に出よ。 真っ正直に生きよ。くそまじめな男になれ。一…

映画を観るという、楽しくて幸せな一日

『スイートプリキュア』のあまりのつまらなさに悶絶中のマクガイヤーです。こんばんは。 や、土日の朝に放送されているアニメやら特撮やらは、たとえ大きなお友達がブログやらTwitterやらで熱く語ろうとも、基本的には未就学児童や小学校低学年向けに作られ…

ライター参加しますた。:『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている岡田 斗司夫 以前も書いたけれども、自分はオタキングexという岡田斗司夫に13万円払って仕事をするという、タダ働きどころかマイナス働きをする会社……みたいな集まりに参加しているのだが、そこでライタ…

『キャタピラー』と『鈴木先生』

少し前からうちのブログの人気エントリ第一位は丸尾末広による漫画版『芋虫』の一コマだったりする。 芋虫プレイ - 冒険野郎マクガイヤー@はてな 芋虫 (BEAM COMIX)江戸川 乱歩 丸尾 末広 理由はハッキリしている。若松孝二の『キャタピラー』だ! 正確に書…

ザ・リアル・センス・オブ・ワンダー:『ヤノマミ(書籍)』

(前回の続きです) 一つ、腑に落ちないことがあった。ドキュメンタリーの中で、ヤノマミ族はビーチサンダルを履いていた。男は綿や化学繊維でできた短パンを履き、鉄製のナイフで獲物を解体し、金属鍋で調理していた。 勿論、ゴム工場や製鉄所がジャングル…

北野武による「たけし」

家族サービスやらなんやらが忙しくて『ゾンビランド』も『500才のエリ』も『私の優しくない先輩』も観にいけてない。だからネタが無い……ということもないのだが、最近読んだ本の紹介でもしようと思う。 Kitano par Kitano 北野武による「たけし」北野武 ミシ…

トンデモ本大賞2010

今年もトンデモ本大賞に行って来た。 まず、例年それなりに楽しい「と学会エクストラ」だが、今年は光デパート氏がやられた「チキンラーメン真の発明者」が面白かった。 保存食としての油で揚げた麺は戦前から「伊麺」として台湾に存在したこと、日清食品か…

巨人とはなにか:『進撃の巨人』

最近友人が増えたのだが、その中の一人から「これ、読んだことありますか?」と一冊のマンガをお薦めされた。読んだら、もの凄く面白かったので紹介したい。 お薦めされたのは『進撃の巨人』というマンガだ。 進撃の巨人(1) (少年マガジンKC) 一言で言って…

侵略する伊藤計劃:『伊藤計劃記録』

伊藤計劃記録早川書房編集部 だから「人狼」はヒットしないでしょう。ここにはマ◯チやデ・ジ・キャ◯ット、あるいはホシ◯・ルリのような「萌える」デザイン(言わば『怠惰なキャラデザイン』)のキャラクターは一切登場しませんし、アルマゲドンのような自動…

映画監督押井守にとっての勝利と敗北──もしくはキャメロンに「負けた」理由

勝つために戦え!〈監督篇〉 ライムスター宇多丸が先週タマフルでお薦めしていた押井守の新刊「勝つために戦え! 監督編」を読んだのだが、面白かった。 TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル 前作にあたる「勝つために戦え!」は何年も…