2012-01-01から1年間の記事一覧

スタジオカラーVSガイナックス:『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

もはやコミケにも行かないし深夜アニメもチェックしないヌルオタな自分だが、こればかりは見逃せないと初日に観てきましたよ。なにがって、勿論『ヱヴァQ』ですよ。 いやはや、映画館の席は右から左までビッチリで、あんなにも映画館が満席だったのは数ヶ月…

詩人のアイロニー:『希望の国』

『希望の国』鑑賞。 前作『ヒミズ』が自分としてはイマイチだったので、期待せず観たのだが、傑作だった。 日本映画には『生きものの記録』や『原爆の子』、『第五福竜丸』や『黒い雨』、『父と暮せば』といった、その時代時代に原水爆や放射能と正面から向…

『オタクの息子に悩んでます』

何回か書いているのだが、自分はFREEexという岡田斗司夫に月一万円支払いつつ仕事も手伝うという、どう考えても信者な集まりに参加しているのだが、そこから新刊が発売されたので紹介したい。 オタクの息子に悩んでます 朝日新聞「悩みのるつぼ」より (幻冬…

『特撮仕事人 特撮監督 佛田洋の世界』

「特撮博物館」の会期中に紹介しようと思っていた本があるのだが、ちょっと野暮用をこなしている間に終ってしまった。 それでも、全国巡業の検討もしているそうだし折角なので紹介しようかと思う。 「特撮博物館」で自分が一番不満だったのは、東宝に円谷に…

死に場所探して生きるもよし:『アウトレイジ ビヨンド』

『アウトレイジ ビヨンド』鑑賞。すげえ。残酷シーンを除いたら「やくざでポン」な前作とは全然違う映画だった。 北野武は日本のイーストウッドなのではないかと考える時がある。俳優業との両立や、「死」や「暴力」といった題材の共通性だけではない。ヤク…

青島刑事の敗北:『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』

「大ヒット!」とか「早くも興収◯億円」とかいった景気の良い話を聞くわりに、自分のタイムラインでは全く盛り上がっていない『踊る大捜査線 THE FINAL』を観たのだが、意外に面白かった。 『踊る大捜査線』はシネコン時代のプログラムピクチャーだ。本作の…

神の不在と越境について:『桐島、部活やめるってよ』

格差があって、戦争がある。だから――学校は、世界だ。 あちこちで評判の良い『桐島、部活やめるってよ』を観たのだが、聞きしに勝る映画だった。いわゆるスクール・カーストがテーマなのだが、高校生活から20年以上経たんとしているおっさんの自分にも、他人…

こまけぇこたぁいいんだよ!:『プロメテウス』

プロメテウス [Blu-ray] 『プロメテウス』鑑賞。うおおおお面白かった! キリスト教文化圏の人間が拘りがちな「人類の起源」「創始者との対決」みたいなのには全く興味無い自分だけど、そういった高尚なテーマを隠れ蓑に渾身の力でグロSFをやってやんぜ!と…

嫁がしんどい:『トータル・リコール』

リメイク版『トータル・リコール』観賞。自分は、世界で一番偉大で一番下衆な監督はポール・バーホーベンだと考えているのだが、なんだかレン・ワイズマンのことが他人事に思えなくなってしまう映画であった。 トータル・リコール [DVD] 1990年のバーホーベ…

最近の映画感想2

なんか忙しくて真面目にエントリを書く暇が無いのだが、『プロメテウス』も『アベンジャーズ』ももうすぐ公開なのだな。 せっかくなので、ツイートをまとめてお茶を濁そうかなと思う。 『サニー 永遠の仲間たち』 過去のダサいカラフルさと、それに比較する…

社会を信じるか:『おおかみこどもの雨と雪

『おおかみこどもの雨と雪』鑑賞。凄い映画だった。 一言でまとめるとシングルマザーのお伽話なのだが、狼男の子を生んだシングルマザーの話なのだ。世にシングルマザーの映画は数あれど、人外魔境で地底獣国出身の狼男の子を孕んだシングルマザーの映画を監…

巨神兵は何故東京を破壊するのか:『巨神兵東京に現る』

この夏、特オタなら嫁を質に入れてでも駆けつけたい展覧会『特撮博物館』に行ってきたのだが、もの凄く良かったよ! ここ数年は色んなところで特撮関係の展覧会をやっているけれども、展示品の質・量のみならず、並べ方といい解説文といい、「熱さ」が全く違…

あなたの親愛なる童貞:『アメイジング・スパイダーマン』

アメイジング・スパイダーマン [DVD] 『アメイジング・スパイダーマン』やっと観た。面白かった。 面白かったけど、やっぱ自分はサム・ライミ版のスパイディの方が好きだな。今回のスパイダーマンには童貞力が足りないんだよな。童貞力が。あ、関係ないけど…

ジョーカーと生きる:『先生を流産させる会』

先日、テレビで『ダークナイト』が放映されていた。 その数週間前に『先生を流産させる会』を観たのだが、両者の相違点について思い浮かんだのでちょっと書いてみたい。 『先生を流産させる会』、自分は立ち見が出るほど大混雑の映画館で観たのだが、ちょう…

実話に克つ:『ソウル・サーファー』

自分はあんまり俳優目当てで映画を観ることがないのだが、アナソフィア・ロブたんが出るというので『ソウル・サーファー』を観にいった。アナソフィアたんももう19歳、もはやテラビシアには連れてってくれなさそうな年齢だけど、片腕カンフー対空とぶギロチ…

邦画はなにを殺すためにあるのか:『映画は父を殺すためにある』

映画は父を殺すためにある: 通過儀礼という見方 (ちくま文庫)島田 裕巳 島田裕巳の『映画は父を殺すためにある』読了。本を読む遅さには自信がある自分だが、本書はさっくり読めた。めっさ面白かったよ。 本書の内容は、大きく分けて二つある。通過儀礼とい…

おっさんのかっこよさとかっこわるさについて:『ファミリー・ツリー』

『ファミリー・ツリー』観賞。 えがったー。なんだかんだ適当なことを書きつつも自分は二児の父親であったりするのだが、身につまされる所あり、爆笑するシーンありと、楽しめる映画だった。 以下、ネタバレなのだけれど、ネタバレしても楽しめるように書く…

傷ついた友達さえ置き去りにできるウルトラソルジャー:『ミカるんX』

先日オタク大賞R13を観覧してきた。年齢のいった特オタには無視されがちな平成特撮、それも2000年以降の特撮作品を語りまくるというイベントだったのだが、たいそう面白かったよ。 「『クウガ』と『タイムレンジャー』の頃まで戦隊・ライダーは特撮の中でも…

最近の映画感想

ちょっと忙しかったので更新をサボっていたのだが、いつの間にか一ヶ月くらい経ってしまった…… イカンわー。こんなのを書いていたせいもあるのだが、心を入れ替えて、せめて週一くらいの頻度で更新していきたいところだ。 その間、気になる映画はしっかりと…

フード理論と映画的記憶(とジロリアン):『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』

タマフルでお馴染み福田里香センセイの新刊を読了。 ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50福田里香 オノ・ナツメ この本、どんな本かというと、映画やマンガといった映像・画像作品における食べ物――「フード」の役割について延々…

『ヤマト2199』に足りないもの:『バトルシップ』

『バトルシップ』鑑賞。 「時代を反映している」「余計な人間ドラマが最小限」という二点において、世間で評判の悪い『ロサンゼルス決戦』が自分は大好きなのだが、全く逆の理由でこちらも大好きになってしまう映画だった。 本作は地球外生命探査のため、衛…

311以降の祝祭:かなまら祭

先週の日曜日のことなのだが、川崎の金山神社にて行なわれるかなまら祭りに行ってきた。 かなまら祭りとはどんなお祭りかというと、大きなちんぽを乗せた神輿を担いで街を練り歩いたり、大根をちんぽ型に削って奉納したり、ちんぽグッズを売りまくったりする…

『総天然色ウルトラQ』BD発売記念オールナイトイベント“たいせつなことはすべて怪獣がおしえてくれた観覧レポート

『総天然色ウルトラQ』 Blu-ray BOX ? 先週末は町山智浩帰国に合わせた町山祭りみたいな状態で、自分もロフトに行ったりUstを観たり花見に行こうかどうか迷ったりと、ファンとして堪能してしまった。祭りの一イベントとして、みうらじゅんと町山智浩のトーク…

真・おれがウルトラマンだ:『ウルトラマンサーガ』

その昔、ウルトラマンは神や仏と同種の存在だった。しかし現在、彼の凋落ぶりたるや、目を覆わんばかりだ。プロダクションが買収されるや、ミニチュア無しのローコスト番組製作を余儀なくされる。ウルトラマンキングの声を政治家がアてる。星空に向かってラ…

スーパープリキュア大戦オリジナル・ジェネレーションへの道:『プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』

『プリキュアオールスターズNewStage みらいのともだち』鑑賞。 前シリーズであるところの『プリキュアオールスターズDX』は典型的なスパロボ映画+新世代プリキュアへの継承話、すなわちプリキュア大戦映画であった。 プリキュア大戦映画とはなにか。 各作…

タランティーノより先輩のサンプリング番長:『戦火の馬』

戦火の馬(スティーブン・スピルバーグ監督) [DVD] 『戦火の馬』鑑賞。おおおお面白かった! 最もベタなビルドゥングス・ロマンは、ヨーロッパの田舎に住んでいた若者が戦争に行って、肉体的・精神的に傷ついて、社会や世界や大きな物語を知って大人になって…

ハン・ソロ・カーボナイト・チョコ

久しぶりに映画以外の話題。 ホワイトデーに向けて、珍しくもチョコレートの自作なぞをしてみることにした。 何故かというと、最近巷で話題の↓を買ったからだ! スター・ウォーズ ハン・ソロ カーボナイト アイストレイ/Star Wars Han Solo in Carbonite Sil…

マクロスとビッグダディのあいだ:『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』

自分はアイドルと聞けば恵比寿マスカッツのことを真っ先に連想するくらい、アイドルというものに1ミリも興味が無い人間だ。そんな自分の友人の中にも、やれももクロだ、やれ腐女子シスターズだのと、口を開けばアイドルの話ばかりするアイドルオタがいるわけ…

人生が続くということ:『海賊戦隊ゴーカイジャー』

<初回生産限定>スーパー戦隊シリーズ 海賊戦隊ゴーカイジャー VOL.12<完>超全集スペシャルボーナスパック(仮)【Blu-ray】 自分のような人間は日曜朝の『戦隊』『ライダー』『プリキュア』のうちどれかが楽しければ、その後に続く一週間をそのまま楽し…

ゲロとレイプとアンチ007:『ドラゴン・タトゥーの女』

ゲロシーンとレイプシーンをきちんと描く映画は傑作ばかりの法則を一人で提唱しているのだが、『ドラゴン・タトゥーの女』は傑作だった。最近のデヴィッド・フィンチャーは若い頃にも増して才気走ってるなぁ。 きちんとしたゲロ&レイプシーンってなんやねん…