311以降の祝祭:かなまら祭

先週の日曜日のことなのだが、川崎の金山神社にて行なわれるかなまら祭りに行ってきた。
かなまら祭りとはどんなお祭りかというと、大きなちんぽを乗せた神輿を担いで街を練り歩いたり、大根をちんぽ型に削って奉納したり、ちんぽグッズを売りまくったりするお祭りだ。愛知県の豊年祭やてんてこ祭り、新潟県ほだれ祭りなどが有名なのだが、首都圏では珍しい。
例年、かなまら祭りは4月の第一日曜に行なわれる。今年は4月1日だ。「川崎でピンクに塗られたでっかいちんこ型の神輿を女装したおっさんが担ぐ祭りがあるんだよ!」と友人を誘ったとしても、エイプリルフールと勘違いされる可能性が高かったりする。


ちなみに、一昨年も観にいったのだが、昨年は311の影響で神輿を自粛したそうだ。自分も祭りどころではない心境なので行かなかった。


かなまら祭りは日本よりも海外で有名な祭りで、英語版Wikipediaに単独項目があったりする。当日も川崎駅から大師線に乗り換えた途端外人比率が異様に上がるという恒例の光景となった。”Three stops.”なんて呟きにニヤニヤしたりしてしまった*1



ちんこ神輿を待ち望んでいた人が多かったのかどうか分からないが、川崎大師駅を降りた途端、浮かれた外人と酔狂な日本人とで、たいへんな混雑だった。トイレもコンビニも出店がある境内もコミケ並、いやコミケ以上。「道路に出ないで下さい!」と警備の警官が何回も怒鳴っていた。なんでも例年の1.5〜2倍の人出だという。一昨年は連れてった息子(当時4歳)が潰されそうになったのだが、今年は同行させなくて本当に良かったと思った。や、断られたのだけれども。




まずは恒例のちんぽ飴とまんこ飴を購入。二色の素材を使用する懲りようで、相変わらずリアルだ。一昨年購入したものは、舐めるのが勿体無くてずっと部屋に飾っていたのだが、夏の暑さで溶けたりしてしまったんだよな。

女性がちんぽ飴を舐めるとシャッターチャンスとばかりに撮影しまくられるのだが、もはやそれも普通の光景だった。



いよいよ神輿が街をねり歩く。

神輿は全部で三基。オーソドックスに黒いちんぽが乗っている「かなまら神輿」。鉱山や鍛冶の神を祀っている*2ということで日立造船から寄贈された「舟神輿」。そして歴史ある女装協会「エリザベス協会」の会員たちが担ぐピンク色の神輿「エリザベス神輿」だ。
一昨年も思ったのだが、ピンク色の男根がふつうの街中をねり歩くというのは、いつみてもすごい怪獣並みに非日常な光景だ。


神輿は金山神社のある若宮八幡宮から川崎大師に巡幸する(川崎大師からは嫌われてるらしい)。皆、神輿の後から行列についていくわけだが、中にはコスプレしている人もいた。



このお姉さんが持っているピンクのボールはおっぱいではない。



ペニスケースを装着したバットマン。なんて筋肉だ! 映画のバットマンもこんなんだったら良いのに。



このバットマンは一番の人気者で、色んな人から記念撮影をお願いされていた。その度にポージングするのだが、最後は汗まみれになっていたよ。お疲れ様です。


で、何回も撮影をお願いされるので、段々と神輿から離れていってしまう。その時バットマンが一言。
「神輿に置いてかれちゃう!」
そうそう、かなまら祭り以外でこんな格好してたら捕まっちゃうからね……って、なにこの流暢な日本語。てっきり外人だと思ってたら、日本人だったのかよ! 日本人であんなにも鍛えるとは、もしかして有名人なのではなかろうか。コミケにもああいう人が来て欲しいなぁ。




神輿やコスプレも楽しかったのだが、飾られている絵馬も面白かった。かなまら祭りエロゲーを原作とするアニメ『真剣でわたしに恋しなさい』の題材となったらしいのだな。




安産や性病はわかるが……こんなご利益は無いと思う



このご利益はあるね!



そういや、みうらじゅんの『とんまつり』は有名だが、『ムカエマ』という本もあったなぁ。


そんなわけで実に楽しいお祭りだった。
印象的なのは、参加者の笑顔だ。あんなに混雑していたのに、嫌そうな顔していたのは警備の人だけだった。男も女も、地元民も遠くから来た人も、日本人も外人も、ノンケもゲイも、皆とびきりの笑顔。それもニヤニヤ笑顔だった。基本的に参加者の大多数は「ちんぽ祭りだって、ギャハハハー!」的興味本位で参加してるのだが(勿論自分含む)、そんな人も真正面から受け止める、懐の深い祭りだった。ポスト911というか、311後の祝祭というのはこういうものなのかもしれないな。昨年は神輿を自粛したという経緯含めて、こういう祭りを笑って楽しめるというのは、幸せだなと思ったよ。

*1:川崎駅から三駅目なのです

*2:そういや金山神社若宮八幡宮境内にあるのだが、八幡神柳田國男によれば鍛冶の神だった