ライター参加しますた。:『評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている』

評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている
岡田 斗司夫
4478015880

以前も書いたけれども、自分はオタキングexという岡田斗司夫に13万円払って仕事をするという、タダ働きどころかマイナス働きをする会社……みたいな集まりに参加しているのだが、そこでライターの一員を務めた書籍が発売になった。


どういう内容かというと、見知らぬ人から無根拠で1000円恵んで貰うよりも、はてブされたりTwitterで言及されたり、Facebookで「イイね!」を押されたりした結果、Amazonアフィリエイトを通して受け取る100円の方が全然うれしいよねーみたいなことを、中世→近代→現代の思想的流れとか、農業革命・産業革命に続くイノベーションとか、インターネットの発達に伴う志向の変化とかいった文脈で説明しようとしている本だ。詳しいことを知りたい方はFacebook上に公式サイトがあるので「イイね!」を押したり、当ブログからAmazonに入って書籍を購入したりしてもらえれば、嬉しいことこの上ない。いや、ホント。



で、内容よりも、自分が具体的にどういうふうに関わったのかについて説明したい。
ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)
岡田 斗司夫
4022612444
まず、この本は岡田の著書『ぼくたちの洗脳社会』のリライトである。95年に書かれた本なのだが、当時はインターネットはまだ一般的でなかったし、当然はてなTwitterFacebookも無かった。この本を時代に合わせてリライトしようというのがスタートだ。
で、同じくオタキングexの「社員」であるところの浪速のダイスケ*1がリライトした後、全五章あるうちの第一章だけ再度自分がリライトしたのだ。「本は一番最初の章が大事!」みたいな声に上手く乗せられた……というのは真っ赤な嘘で、「やる?」と声をかけてもらうが早いか二つ返事で引き受けて、ドヤ顔でネタ出ししたみたいな感じだ。


勿論、その後「社長」である岡田の全面的な書き直しと見直しが入った後に出版されたわけで、結果的に自分の関わりなんて微々たるものなのだが、それでも『2001年宇宙の旅』にツッコミを入れたり、HPVワクチン騒動や事業仕分けをディスったりした箇所では、大分自分の文章が残っていたりするのが嬉しいところだ。


嬉しいといえば、この本が実際に出版されて、本屋に並ぶってところが嬉しい。「社員が社長に給料を払う会社」と説明すると大抵の人は怪訝な顔をするのだが、実際これこれこういうことをやって、こういうことに関わってるんですよーという具体例ができたので、友人知人に胸を張って説明できるのだな。公式サイトの記事にも関わっていたので、それを例に出すのも同じことなのだろうが、やっぱり実際の出版物があるのとないのとでは全然違う。アトムとしての本が持っている権威を利用するってところだろうか。


また、オタキングexの活動の一例を紹介するという意味でも良かった。
オタキングexの説明として「家族」であり「学校」であり「会社」であるというのがあるのだけど、多分そういわれても具体的にどういうものかピンと来ない人が大半だと思う。
ただ、まず会議して、何人かの「社員」が執筆して、その後「社長」がアンカーライターを務めるという今回の執筆のやり方は、図らずも自分が通いなれた理系の大学の研究室における論文の書き方――ミーテイングして、学生が勉強も兼ねて文章書いて、教授がまとめるというやり方――にそっくりだった、ということをきちんと書いておきたい。教授から学ぶことと同じくらい、同期や先輩後輩とのやりとりから学ぶことが多いのも同様だった。



そういうわけで、自分の文章(が元になったもの)が、実際に印刷されて本になって本屋にならぶのをみるのは結構感じ入るものがあった。書店でその部分だけ再度立ち読みして悦に入ったりしたよ。
え? そんなの家でやれって?
オタキングexは「社員」から給料を受け取る代わりに「社長」岡田斗司夫の印税フリーを実現している「会社」なので、「社員」も印税を受け取らない(どころか給料をはらっている)。そのせいか、自分のところに献本も来ないのであった。かといって、リライトの過程で暗記するほど読み込んだので、今更金出して買う気もしないのだな。テキストデータは手元にあるし。
そんなわけで、明日も本屋で立ち読みしながらほくそ笑むことにするよ。

*1:オタキングex内では、「社員」は必ず二つ名で呼ばれる。ちなみに自分は「マクガイヤーのリュウタロウ」だ。