映画を観るという、楽しくて幸せな一日

『スイートプリキュア』のあまりのつまらなさに悶絶中のマクガイヤーです。こんばんは。
や、土日の朝に放送されているアニメやら特撮やらは、たとえ大きなお友達がブログやらTwitterやらで熱く語ろうとも、基本的には未就学児童や小学校低学年向けに作られているってのは分かっているよ。でも、中には『ハートキャッチプリキュア!』や『シンケンジャー』みたいな、どこに出しても恥ずかしくない傑作もあるわけで、毎年新作は期待しながら観始めるのだけど……さすがに「待ち合わせ場所に来なかった」程度の理由で絶交するような女子中学生メンタリティにはついていけないんだよね。
そのうち「勉強してないしてないなんて言いながら100点とったー!」なんて理由で喧嘩したり、「マラソン一緒に走ろうね、なんて言いつつ、ペースあげて一位とったー!」みたいな理由でまた絶交したりしそうだ。……あれ? そもそも最初の『ふたりはプリキュア』ってそんな話だったっけ?


プリキュアぴあ (ぴあMOOK)
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まぁ、それはそれとして、巷ではプリキュア初の大きなお友達向け書籍と呼ばれている「プリキュアぴあ」を購入してみたのだが、スタッフへのインタビューが充実した良い本だったよ。各作品のプロデューサー、シリーズディレクター、キャラデザイナーにインタビューを行っているのだが、ダークプリキュアがオーディションを受けに来てくれた高山みなみの為に急遽作られた役どころだったとか、『スイーツプリキュア』はキャラデザイナーをコンペで選んだとか、エエ話がいっぱいだった。「ガンダムぴあ」は富野インタビューしか読む価値無かったのであんまり期待してなかったのだけれど、このクオリティでやってくれるのなら、今度発売される「ライダーぴあ」も買ってみようかな。
『仮面ライダー』ぴあ 公式写真集&40周年記念本
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で、中でも『プリキュアオールスターズDX』の監督を務める大塚隆史に対するインタビューの中に、非常に印象的な部分があったので引用したい。

大塚:でも極端な話をすると、おそらく子どもは映画の内容はあまり覚えてないとも思っています。おもしろかったとか怖かったとかの漠然とした感情はあると思いますが、僕はむしろ子どもたちにとっては「映画を観に行く」という行為そのものが楽しいんだと思うんです。映画に行く前日の晩からわくわくして、当日はプリキュアの服を着て、お父さんやお母さんと手をつないで映画館に向かう。映画館ではお父さんが普段は買ってくれないポップコーンを買ってくれたり、特典のミラクルライトがもらえたりして、真っ暗映画館の中で初めての高揚感を味わう。映画を観終わった後は、食事をして「楽しかったね」と感想を話しあう。人生で初めての「映画」という体験が、家族そろっての幸せなものだったなら、この映画はその役割を果たしている。そこにある「映画」は作品的な嗜好より、楽しい一日のきっかけや手助けになるような作品内容になれば素敵だなぁと思って、僕はこの映画の監督をしています。僕自身も子どもの頃に、弟たちと一緒に父親に連れられて初めて映画を観に行って、わくわくした経験がありまして。その時の記憶や感情がいまの自分の目指すものや仕事をする原動力になっているんです。ちなみにその映画は、西尾大介監督の『映画ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ』だったんですけど(笑)。


――おお、『ふたりはプリキュア』の西尾シリーズディレクターの作品ですね。西尾シリーズディレクターから大塚監督への想いが継承されていますね。


大塚:親父が珍しくポスターやパンフレットなんかを買ってくれたりしました(笑)。あのときのような楽しい一日になることが、僕の目指すプリキュア映画の姿なんです。子どもたちにとって映画はイベントであり、アトラクションであり、フェスティバルだと思うんです。ミラクルライトを「もらった」「振った」ことが楽しい記憶になって、お父さんやお母さん、お姉ちゃんや妹たち家族や友達との楽しい一日になったなら、僕らがこの映画をつくった意味がきっとあるし、僕がこの世に生まれてきた意味も少しはあるんじゃないかなぁーなんて思うんです。劇中で幸せとかを説教臭く語る必要なんてないんです。だってもうすでに大好きな人と映画を観るという、楽しくて幸せな一日がそこにあるんですから。


これはさ、いわば「おれ達プログラムピクチャーとして最高のものを作りますよ宣言!」だと思うんだよね。


「映画」ってものの本質は、倉庫に納められたフィルムでも、ハードディスクの奥底に保存されている電子データでもなく、客の前で上映されて初めて「映画」たりえるのだ、ってことだと思う。『プリキュア』ってのは、ヒラヒラの服を着た美少女がキャーキャー言いながら踊り戦うアニメなのだけれども、「客にみせてこその映画」という部分を外していないのは流石東映だと思った。


今年は公開日に嫁と子供が実家に帰るというので、自分一人で観にいくつもりだったのだけれども、やっぱり子供と一緒に観にいくかと思い直したよ。
まぁ、子供といっても娘ではなくて息子で、男二人で観にいくわけなのだが、男だけで『魔法少女まどか☆マギカ』のDVDを観るようなものだから、大丈夫だよね。