のりピー逮捕でメシがウマい

子持ちの夏といえば家族サービスに決まっているわけで、二泊三日で伊豆に行ってきた。日曜夜に帰宅したのだが、その後の台風や地震を鑑みるに、自分は本当に悪運の強い男だなと感じる。やー、火曜帰宅だったら死んでたよ、渋滞で。


ただ、今年も面倒臭くてラッシュガード用意したりサンオイル塗ったりしなかったので、日焼けの痛痒さにのた打ち回っている今日この頃だ。日焼け直後は全然大丈夫だったのだけれど、ニ、三日経って皮膚の再生が始まるともうタマらん。この、「ニ、三日」ってところが我ながらおっさんなのだが。


しかし、テレビやネットを覗けば、そんな日焼けの痛痒さを癒してくれるニュースでいっぱいだ。何がって、勿論のりピー逮捕でマンモスかなピー話ですよ。アニオタ風にいえば、アクティブ・ハートで夢冒険ですよ。歌謡オタ風にいえば、ホンキをだして渚のファンタシィですよ。幸福なんてほしくないわ、あなたに天使が見える時、あなたが満ちてゆく、誘われて…、軽い気持ちのジュリア、おとぎの国のBirthday、たぶんタブー、笑顔が忘れられない、さよならを過ぎて、涙がとまらない HOW! AW! YA! Here I am 泣きたい時は泣けばいい……と、思わずWikipediaからシングル曲目リストをコピペしてしまうくらいの興奮ですよ。



なんでこんなにも興奮するかということなのだが、これは、たとえば押尾学と比較してみると分かり易いだろう。同時期に同じような事件を起こし、死人まで出していながら、のりピーに比べてそれほど話題になっていない。それは何故かというと、やっぱり大衆というか我々が観たいのは「転落」で、足を踏み外す場所が高ければ高いほど楽しめるからだと思う。


つまりさ、押尾学が薬物で逮捕なんてのはさ、どこか「あー、やっぱりー!」感があるんだよね。生意気だし、若僧だし、不真面目そうだし、何よりも後先考えずに馬鹿な言動を繰り返すイメージがある。たとえ今回の事件が無かったとしても、遠くない未来に合法違法に関わらないが大きなトラブルを起こし、俳優やミュージシャンとしての立ち位置を失っていたに違いない。


一方、酒井法子はどうかというと、元アイドル、女優、結婚して子供をもうけた後もママドルと女優業*1を両立と、押尾学の十倍はランクの高い芸能人であることは間違いない。歌手としても女優としても代表作に恵まれ、旦那はスポーツ用品点の御曹司。そして、38歳の現在も若々しくて美人。仕事もプライベートも完璧だ。
また、アイドルとしての酒井法子は日本のみならず香港、中国、台湾といったアジアでも大人気だ。

「マンガ的には」酒井のりピーとは何だったのか。
(中略)
 1990年代以後、酒井法子が香港、台湾、中国で人気になったのも、彼女の顔の造作のためでしょう。わたしは、台湾人イラストレーター、陳淑芬/平凡が描く女性(ウチにも画集いっぱいあります)の目のバランスも、酒井法子だと思ってます。
 酒井のりピーの目のバランスは、東アジア人の感覚にストライク、でした。東洋の古典的細い目の美人でもなく、西洋的巨大目の美人でもなく、現代東アジア人の理想の顔。アジア人が自分たちの感性で、西洋に対抗する「美」として、アジアの理想の美とし発見したのが「のりピー」なのです。
広末涼子上戸彩も、みんなのりピーの子どもたち。酒井法子こそ、東アジア人が理想とする目を、初めて体現したヒロインであったと思ってます。

酒井法子とは何だったのか: 漫棚通信ブログ版

――という指摘は納得の一語だ。
そういや「トップをねらえ!」の制作当時、タカヤノリコ、日高のり子酒井法子でトリプルノリコなどといった宣伝コピーがあったけなぁ。


で、そんなのりピー覚醒剤で逮捕。しかも、当初はショックのあまり自殺する場所を探す悲劇のヒロインかと思いきや、逃亡者にジョブチェンジという過程を経て。天竜人がアウト・カーストに堕ちたかのような転落だ。
そして、視聴者の内なる欲望に最大限応えるメディアであるところのワイドショーはこの話題一色、民放のみならずNHKまでもが真面目なニュースで進展を話題にし、そこらの女子高生やおばさんから中年サラリーマンや外人まで、電車の中吊り広告をネタにこの話題を「消費」し続ける。ブサイクで、貧乏で、生活苦に追われる庶民な自分よりも、美形で、金持ちで、幸せそうなセレブが、一転、泣きじゃくり社会的に制裁を受けるさまを鑑賞する。


これをエンターテイメントと呼ばずして何と呼ぼう。


やっぱりさ、他人の不幸は蜜の味というけれど、メシウマ状態とはこういうことなんだね。下品なことこの上ないけれど、我々は全員がこの下品さを内在化してしまっているので、下品であるということに気がつかないんだよ。これが下品な行為であると思えないんだよ。もう、楽しめればどうでも良いんだよ。


よくゴールデンのテレビ番組でやっている、万引きGメンものと同じだよ。スーパーの奥の薄暗い事務所で、貧乏そうな万引きオバちゃんや万引き老人をパイプ椅子に座らせて、いい年こいて恥ずかしくないのか?オマエなんか人間のクズで犯罪者だ!二度とうちの店に来んな!と責めたてるさまに声援を贈ってストレス解消する自称善良な市民ってヤツだよ。


まぁ、あれですな。善良な庶民であると同時にオタクである自分としては、「トライ Again...!」としか言えないのだが、それしか言えない位置に居ることがこんなにも快適であるのだと痛感した事件であった。



大事なシーンが のりPの曲でなくて
本当によかったと思う。

トップをねらえ! ガンバスター合体 - YouTube


コメントに爆笑。

*1:なんとホラー映画女優、スクリーミング・人妻・クイーンというヤツだ