岡田斗司夫のひとり夜話5 その1

岡田斗司夫のひとり夜話5」に行ってきた。
年末の「4」は嫁が忘年会に行く間に子供の面倒をみるという重大ミッションをこなさねばならず、参加できなかったので、久々の「ひとり夜話」となる。
今回はGyaOでやった全編質疑応答の回みたいに、「客席との対話」のみで3時間やるということで、観客の質問に岡田斗司夫が時間をかけて答えるというスタイルだった。


従来は夕方18〜19時位から初めて、22時くらいまで、時には終電ギリギリまでという夜公演のみだったのだが、今回は初めて昼夜二公演という一日二公演体制となった。当然観客が違うので質問が異なり、講演内容も異なるわけだ。余裕があれば二回行っても良かったかも。


私が行ったのは夜公演。いつもはスシ詰め状態なのだが、昼夜に分散したせいか、かなり快適な環境で鑑賞できたのも良かったかも。いや、きちっとテーブル揃っているロフトプラスワンなんて久しぶりだな。
以下、印象に残ったことを中心にメモとしてまとめるが、いつも通り言った内容そのままというよりは、自分なりにこう理解した、というまとめ方なのでご注意を。特に質問の内容は、人によっては良く聞き取れなかったこともあり、実際の発言とかなり変わっているかもしれない、ご容赦を。括弧内は私の感想だ。

挨拶

  • というわけで、このイベントは僕がひとりで3時間ほど喋り続けるというイベントです。
  • こういった感じで、演者がひとりきりで何時間も喋り続けるイベントは珍しい。ロフトプラスワンにおいて、という意味でなく、他でもあまり目にしない。
  • 大正デモクラシー以前までは、講談とか落語とかいう形であった。でも、落語も現在では前座が出て真打が出てという形で、完全にひとりきりじゃない。
  • なんでも質問して下さい。「◯◯の新作どうなってるの?」みたいな、義理があって答えられない質問以外はなんでも答えます。

野田ともうします。 1 (ワイドKC キス)
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  • シンプルな質問の方が答えるのに苦労するかも。たとえば昼公演で僕が最も答えるのに苦労した質問は「これまで一番面白かったマンガは?」という質問(笑)。
  • 2009年で面白かったマンガは「野田ともうします」。肉食系、草食系の下をゆく微生物系女子の生態を描いたマンガ(笑)。女子高生が着替えるシーンなのに華が無い。いつも体温が32℃くらいしかない地味な女の生活を楽しく描いている。

夢の巻き戻しについて

  • フロイト夢分析をしてから100年くらい経っているが、二十歳の頃読んだ本に、夢というのは倉庫番で記憶の整理を夜にやっているのだ、ということが書いてあった。
  • 以前、夢を巻き戻せるということを書いたが、最近は夢を巻き戻せたり、できなかったり。夢の最中も、夢と意識したり、しなかったり。
  • 30過ぎてから女として一生を送る夢をみた。駄目な旦那を支えて、DVとかうけつつ、中国みたいなところで団子こねたりしながら生活する夢(笑)。で、ある時、崖から足滑らせて死ぬ。みた後、損した! と思った(笑)。
  • 空を飛ぶ夢もよくみる。何回かみた後、これは空を飛ぶ夢だ! と気づいて、まずやるのがスキー用のジャケットとゴーグルと手袋を買うこと。皆、空は寒いって知らないでしょ?(笑)。
  • Google Earthとかみると分かるけど、空からだと現実の風景と見分けるのが難しい。迷うので、中央線の駅を辿って家まで帰ったりする。
  • 一回夢をみると、記憶が次に夢にフィードバックされ、段々リアルになる。また、子供の頃よりも大人の方がリアルになる。高度2000 m以上の上空にいかないと晴れないとか、飛んでいる僕をみてビルの中の人が笑っているとか(笑)。

何かお願いして断られた時に、すぐスネてしまう自分の性格を直したい

  • スネることにどれだけの不便があるの? 無理に性格直すことでジンマシンとか出たりするの嫌でしょう?
  • (質問者)翌日、凄い自己嫌悪に陥るんです。
  • ああ、それは僕が怒るのと一緒ですね。怒って、ロクなこと無かったから。
  • ある人をみて、自分の無力さが嫌で、それを攻撃性として外に出しているということが分かった。自分も同じ。
  • スネるのも同じ。貴方は何かやりたいことがあって、スネているのだとしたら?
  • それか、貴方がいつも無理なことを言って相手を困らせて、本心を測る人なのかも(笑)。知り合いにそういう人がいた。責めて、追い詰めた結果、出てくるのが本心だと考えているのかも。

iPhoneで面白かったアプリは?

  • 必要最小限のアプリしか入れていない。ゲームとかは入れてない。
  • 今、「50歳からのiPhone」という本を書こうと考えている。字を大きくして、「こういう人もやってる」というのは一切やらずに。アスキーに企画書だしたら「えー!」となった(笑)。シリーズで「50歳からのブログ」なんかも考えている。
  • 可処分所得とかデジガジェへの親和性とか考えると4〜50代くらいが良いかも、というのは後知恵で、20台くらいがiPhoneを楽々使いこなしていて、でもあんまり楽しそうじゃなくて、僕が使いこなすのに凄い苦労したことことを考え合わせると、機能の無駄使いが良いかと想った。敢えて全ての機能を使わないというのが50代のiPhoneの使い方では。

演劇をやっているのですが、なかなかおカネを稼げません。好きなことをやってカネを稼ぐには?

  • 楽しいことをやってカネを稼ぐことは、楽しくないことをやってカネを稼ぐことと比べて、ハードルが高い、こういう時、「こだわりのベースをみる」というやり方がある。
  • レストランにたとえてみる。たとえば塩ラーメンの店をやっていて、カレーが流行したらカレーの店に変える必要がある。ここで、俺達は塩ラーメンをやりたいんだ! と塩ラーメンにこだわるのか、それとも俺達は料理が作りたいんだ! とカレーの店に変更するかでは、大分違う。他のラーメンじゃ駄目なのか? 他のサービスではどうなのか? 自分のこだわりはどこにあるのか?
  • 流行の中から自分がやりたいことを探す。もしくは、自分がやりたいことの根っこを探す。好きなことをして社会からカネを貰うにはそれくらいやらないと。誰かが理解してくれるだろうとか、カネを稼げれば良いとかいう考え方は、どちらも駄目。
  • たとえば演劇ならば、俺達がやりたいのは演じることなのか? それとも客を楽しませることなのか? という考え方。お笑いブームなので、お笑いや大道芸に変更するとか。
  • でも、今からお笑いや大道芸に変更するという意識改革は難しいかも。流行モノを中に入れて、どれだけ動員数が変わるのかをみるのが手か。
  • もしくは、できるだけカネをかけないという方法もある。普段着でできて、小屋も安いところで、カネをかけない、損をしない、一生続けられるような演劇を目指すという方法。劇団の人数もなるべく増やさない。つまり、リスクを少なくしてチャレンジ回数を多くするという方法。いつか成功するだろう、という。
  • この3種類かな。ちなみに今僕がやっているのは最後の手法。ブログもひとりテレビもカネがかからない。嫌になったらすぐ辞められる。

今、人生の転機です。決断のコツを教えて!

  • まず、決断しなきゃいけない時はもう負け戦(笑)。
  • 上手くいってる時は決断の必要が無い。こうくるならこう、次はこうと、次々と決まる。リスクとかメリットとかみえなくなるから悩む。
  • それでも決断しなきゃいけないなら、次の選択肢ができるだけひろがるような決断が良い。
  • 自分の経験を話すと、海洋堂と一緒に『王立科学博物館』の企画をやった時、第一弾は決断の必要が無かった。皆ノリノリでやっていたので、11月発売なら営業のケツ叩きましょうとか、中国の工場の都合で12月になるならこうしましょうとか、すんなり決まった。
  • でも、第二弾は決断の必要があった。食玩の状況が悪いとか、中国の工場で同じものを作るにしてもコストが上がるとか、色々と不安要素があった。決断の必要がある時は、だいたい全員が「これ失敗するんじゃないか?」と思ってる時(笑)。
  • 第三弾は無し。全員がやるべきじゃないと思ってた。
  • ちなみに君の「人生の転機」は具体的にどういうものなの?
  • (質問者)アーティストになりたいんですが、音楽の講師の仕事もしていて、そこから正規の教員にならないかと誘われているんです。
  • ああ、そうですか。芸術系の仕事を決める要素として、だいたい4つの要素がある。「才能」「運」「コネ」「時間」の4つ。
    • 「才能」が要素として一番大きいと思われがちだが、実は四分の一しかない。
    • 「運」は努力じゃどうしようもない。
    • 「コネ」は人間関係を育てることでどうにかできる。
    • 「時間」というのは、かけたらかけただけ伸びるという意味
  • 教員やりながら自分の音楽をやれるということで、「時間」をかけるだけかけられるというメリットがある。「コネ」も幾らか育てられるかもしれない。だから教員やった方が良いんじゃないですか?

こうなったら良いのになという夢はみますか?

  • みない。僕がみるのは貧乏臭い夢ばかり。
  • たとえば、「もう一部屋ある夢」なんて何回もみた。今まで気づかなかった事務所のドアを開けるともう一部屋あって、大喜びするという夢。これが風呂? 40畳くらいある! そういえば不動産屋さんも言ってた! みたいな夢(笑)。
  • あとは、ありえない模型屋にいく夢。街で模型屋を発見して入ると、そこにはサンダーバード5号のプラモが! それもリーズナブルな価格で! しかもまだ近所の子供に荒らされて無い! みたいな夢(笑)。*1


(次回に続きます)

*1:これは、何がしかのコレクターなら絶対にみる夢だろう。私も幾度と無くみた。