『ギンガフォース』と『レイディアントシルバーガン』と90年代アニメ

ギンガフォース
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友人から献本ならぬ献ゲームとして『ギンガフォース』を頂いた。
あざーす! 生きていれば、嬉しいことの一つや二つあるものですな。


思わずガンガンギギーンと前につけたくなってしまうタイトルのシューティングゲームであるが、100円玉を握り締めてストイックにプレイするアーケードではなく、家庭用として繰り返しプレイされることを考え抜かれたゲームシステムで、大変楽しかったよ。


自分のようなアラフォー30代がシューティングゲームをプレイしていると、どうしてもクリアできずに詰まってしまうことが度々ある。そんな場合、コンティニュー連打か、修行のような攻略パターン開発か、そっとゲーム機の電源を切って二度とプレイしないか……といった選択肢をとるわけだ。
ところが、『ギンガフォース』はその点きちんと考えられているのが良かった。ステージクリア制をとっているので、同じステージを何度も無駄にやり直す必要が無い。お金を貯めてショップで新しい装備を購入することで、それまで詰まっていた箇所を劇的に切り抜けることができる。コンティニューが無い代わりに、ステージ途中でゲームオーバーになっても、そこまで稼いだお金は貯金されるし、当該ステージでの残機も増える。ステージをクリアすれば購入可能な武器がアンロックされて増える。
オトメディウス ゴージャス!
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早い話、『オトメディウス』や『プロジェクトシルフィード』みたいなシステムなのだが、「新装備に替えると難易度が劇的に変化する」という意味では、最も洗練されているのではなかろうか。『オトメディウス』は新しいキャラが使える嬉しさはあっても、新しい武器を手に入れる有難みがあんまり無かったものなぁ。
Wonder Price ESCHATOS
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同じ製作スタッフによる前作『エスカトス』から引き継ぐ、次第に威力が弱まるメインとサブ武器+バリアという武器システムが、長期間楽しませることを前提とした家庭用ゲームとしてこういった具合に進化するとは思わなかった*1



あと、いかにも90年代アニメっぽい主題歌と、もの凄い中二臭を感じる世界観やキャラクターデザインも良かった。
アマゾンレビューやゲームサイトの感想を読むと、このアニメ演出に苦言を呈している人もいるが、これこそが良いのだと言いたいね。やっぱシューティングは世界観だよ、世界観。


自分は弾幕系シューティングというものが苦手で、ボムを使って回避することが前提のステージばかりが続くシューティングが特に苦手だったりする。だから、弾幕+ボムのシューティングばかりになった頃から新作シューティングを追うのを辞めてしまったのだな。
ところが、『レイディアントシルバーガン』や『ギガウイング』のような、ボムではなく敵弾を吸収することで回避したり、ピンチをチャンスに変えたりするようなゲームが出てきて、またシューティングをチェックし始めたりもした。ここらへんはシューティングというゲームジャンルの隆盛と相関しているような、していないような気がするところだ。
その一方で、ポエム系シューティングは一貫して大好きだ。念の為にかいておくと、単にポエムが表示されるという意味じゃないよ。『鋼鉄帝国』や『メタルブラック』のような、独自の世界観を作りこみ、グラフィックや音楽ばかりかゲームシステムにまで世界観を押し込んだシューティングゲームの一群だ。そういったシューティングは何故かポエムが表示されることが多いが、ポエムが大事というわけではない。思わずポエムを入れ込んでしまった、入れ込まざるを得なかったほどの開発スラッフの心意気や熱量が大事なわけだな。あくまで、自分にとって。
斑鳩 IKARUGA (Dreamcast)
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そういったわけで、『レイディアントシルバーガン』や『斑鳩』が出てきた時は「こんなのもあるのか!」と数年ぶりにゲーセンに足を運んだりしたし、家庭用への移植が発表された時も嬉しがったクチなのだけれど、『レイディアントシルバーガン』がセガサターンに移植された時は、やはり戸惑った。
なんか、微妙なアニメのデモシーンがついてきたんだよね。
レイディアント シルバーガン
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しかも発売は1998年、ちょうど「萌え」が出始めたり、秋葉原のオタクショップ化が始まったころだ。
「あんなにカッチョ良かった『シルバーガン』が、<萌え>に侵されとる!」……と、狭量だった自分は思ったものだ。
でも15年経って、『パトレイバー』実写化や『蒼きウル』制作再開のニュースに心震わせてしまう今、Xbox Live Arcadeなんかで『シルバーガン』をやり直すと、このGONZO製作のいかにもな90年代アニメにまた独特の魅力を感じるのも事実なんだよね。このアニメはいわば『シルバーガン』におけるポエムなんだろうな。


で、『ギンガフォース』のアニメ絵演出における2013年とは思えないキャラクターデザインは、この『シルバーガン』のアニメ演出を彷彿とさせるタッチなわけで、明らかにわざとやってると思うんだよね。
つまり、オマージュだ。『エスカトス』が80年代シューティングにオマージュを捧げたゲームとしたら、『ギンガフォース』は90年代アニメや同人文化にオマージュを捧げた世界観という気がするなぁ。


そういうわけで、90年代アニメと家庭用シューティングの最先端の合わせ技である『ギンガフォース』はお薦めだ。
しかし、まさかこの主題歌を唄っているのが○○代の女性とは、お釈迦様でも気がつくまいて……

*1:ちなみに『エスカトス』のセーブデータがあると購入できるエスカトスチックな武器は高威力だ