オタク大賞R5.5〜ちょっとHなオタク大賞2〜その1

もうかなりの時間が経ってしまったのだが、「オタク大賞R5.5〜ちょっとHなオタク大賞2〜」に行って来た。


日本オタク大賞 |オタク大賞R5.5/ちょっとHなオタク大賞「特集・雑破業」


司会に藤津亮太、出演に鶴岡法斎前田久、ゲストに「ジュブナイルポルノ作家の第一人者」雑破業を迎えての番外編とアナウンスされての開催とのことで、自分はポルノ小説にもラノベにもあんまり詳しくないのだが、最近のオタク大賞Rは毎回面白いので行ってきたのだな。
実際行ってみると、内容はエロ小説やエロマンガをネタにした酒盛りエロ話で、非常に楽しかった。この位の年齢になってくると、酒飲みつつエロ話というのがタマらんのだよな。


以下、印象的だったことを中心に、いつものようにメモとしてまとめる。私なりのバイアスがかかったまとめ方なのでご注意を。分かりやすいよう、発言の前後を変えたりしている。括弧内は覚えている限りの発言者の名前、もしくは私の感想なのだが、適度に省略した。←はツッコミ的コメントだ。

挨拶

  • (藤津)一年ぶりとなるオタク大賞R番外編、今回は雑破業さんをゲストに迎えてジュブナイルポルノをテーマにお送りします。鶴岡くんと前田くんはこんなにも話の合わない二人なのだけれど、彼らが唯一「良い!」と共通して支持するのが雑破先生です。
  • (鶴岡)自分はレイプものがツラい性分なのだが、雑破さんが原作を務めた「SECRET PLOT」には癒された。屈強な女教師に犯されるというのは自分にとって癒しだった(笑)。
  • (前田)小学校五年生の時に初めて雑破さんの作品に触れた。エロ小説はパッと見普通の本なので買いやすかった。ナポレオン文庫が創刊された時には「なんか凄いもん出ちゃった!」と感じた(笑)。ここには何かあるに違いない、と。
  • (鶴岡)自分にとって最近の雑破先生といえば、コミックメガストアで足掛け4年かけて連載し、つい先ごろめでたく完結した「SECRET JOURNEY」。西遊記のパロディなのだが、三蔵法師がショタっ子で、悟空と八戒沙悟浄は女で、ただエロいことしてるだけという牧歌的なマンガです(笑)。
  • この中で雑破さんをご存知な人はどのくらいいますか?じゃ、エロ小説を読んだことある人はどのくらい?もしかしてお客さんの中に業界人はいますか?え、KTC?本業じゃないですか!(笑)

SECRET PLOT (プラザCOMIX)
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5分で分かるジュヴナイルポルノ概略

ゆんゆん・パラダイス (ナポレオン文庫)
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    • 1993年ナポレオン文庫創刊。雑破業デビュー。ジュヴナイルポルノの誕生。
    • 「フレンチ」、「黒背」なんて呼ばれていた。「今日はフレンチにしよう」とか。
    • 萌え系イラスト+エロマンガ的シチュエーション=ジュヴナイルポルノの確立。
    • ライトノベルの流れに目配せしていたかどうかは疑問。
    • それまでは劇画タッチのイラストに、中年オヤジ向けシチュエーションだった。人妻をおっさんが犯すとか。日活ロマンポルノみたいな。
    • それまでは挿入至上主義だった。10ページに1回エロが無いと駄目、なんて言われていた。それが、雑破先生の登場で変わった。
    • (雑破)僕は単にちんぽが大好きなんです(笑)。本番に興味が無かった。それまでのエロ小説は、シングルだけを集めたアルバムのようなものだった。でも、プログレみたいなアルバム、フルコース的なエロ小説が欲しい!と思った。初回は普通に読んで、二回目は好きな部分から読んで貰えば良い。
    • 確かにAV観てる最中に本番シーンを飛ばしたりする。セックス至上主義からの脱却があった。何をエロと思うか?フェティッシュな要素があった。
  • その他の代表的な作家たち
  • しかし90年代末、ブームは下火に……
  • 00年代(雑破業アフター)

二次元ドリームマガジン 12月号 Vol.49 [雑誌]
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    • (雑破)名物編集長ウガニク*1さんのこだわりが満ちたサブカルっぽい匂いがする雑誌。触手、変身ヒロイン、変な擬音など、ウガニクさんの趣味趣向が大いに反映(笑)。普通、雑誌を作るならシチュエーションをバラけさせるものだが、シチュエーション特化時代へ。特化させたのが生き残った秘訣か?
    • 趣味趣向はさておき、雑誌を作ったのが偉い。単行本一冊分書き下ろさなくてもデビューできるようになった。ジュヴナイルポルノを送り出すシステムが完成された。未だに潰える気配が無い。
    • 潰えるというか、進化の袋小路みたいな感じ。フクロネズミみたいな(笑)。

雑破業 エロ小説家としての矜持(以下、ほぼ雑破先生の発言なので、名前表記は省略)

  • エロとギャグはスキマ産業。家に帰って、つらつらと思い返して、「あれはエロかった」みたいなことは無い。
  • エロ小説家は、作家というより落語家。この「時そば」をどう変化させれば良いのか?みたいな。
  • 「男の娘モノ」「手ほどきモノ」狙ってやったというよりは、僕が好きなモノをたまたま誰もやっていなかっただけ。
  • 稀に女性からファンレターが来る。「ゆんゆん・パラダイス」主人公の母親が料理を作れないことに共感しました!なんて感想が送られてきたり。
  • フランス書院からの版権引き上げについて)何かあったわけではなく、最初から色々あったんです!(笑)勝手にあちこち文書が書き換えられてたり……

関連リンク²ÝÀËÞ­°‚X

  • (少年が主人公であることについて)ショタ的趣向というよりは、あの頃は辞書の一文でもオナニーできたのに!という思いから。過ぎ去った少年時代への情景みたいな。あの頃のちんぽがびんびんだった頃の自分をここに呼んでオナニーさせたい!という思いがある。
  • (名前の由来)公式には、雑で破綻していて業が深いから。本当の所は、好きな著名人の引用。
  • フランク・ザッパ+業ということですか?←そうそう。
  • イニシャル・トークでZ氏なんて書かれるのが困る。オレと雑君保プしか居ないよ!(笑)
  • ペンネームは軽い気持ちでつけると後々問題になる。そういえば東海村原八さんも「後悔してる」と言っていた(笑)。

本人と振り返るビブリオグラフィ

  • 「パーフェクト・ラブレター―蓬莱学園 恋愛編」

パーフェクト・ラブレター―蓬莱学園 恋愛編 (富士見ファンタジア文庫)
4829126736

    • 新城十馬(現カズマ)、「フルメタル・パニック!」書いている賀東招二と三人で競作したが、三人ともフラれる話を書いてきた(笑)。
    • どれだけひっかからずに、それと気づかない形で、エロを入れられるか?という勝負だった。
    • 読者は中学生なので、シメシメと思った。中学生のうら若きちんぽを……みたいな。
  • 辰巳出版ネオノベルス

おませでゴメン! (ネオ・ノベルズ)
488641351X

    • 1998-2000年。再発一杯出した。契約書も無かったし……(笑)。
    • 同じエロでも二次元と三次元で大きな壁がある。出版社のビルのフロアが違ったりする。
    • 辰巳出版は本社ビルが新宿二丁目にある。打ち合わせに寄った帰り、これも勉強だろうと「そういう」本屋で立ち読みしていた。ある時、今日は混んでるなぁと思ったら、自分の周りだけ混んでいた(笑)。
  • 「だいすき!」

だいすき!〈前編〉 (HOT MILK NOVELS)
4877343725

    • あの判型で出したのは、書店の論理があったから。ホットミルクはエロマンガの大きさの棚しか

確保してなかった。

  • 「なばかり少年探偵団」

なばかり少年探偵団 さくらの季節 (富士見ミステリー文庫)
4829161140

    • ある出版社で(エロすぎて)出せません!と言われて、それをそのまま富士見書房に持っていったら「ミステリー文庫のレーベルを作るので、これをミステリーにしましょう!」と言われた企画。いや、君の言ってることがミステリーだと(笑)。
  • 「ゆんゆんパラダイス」OVA

ゆんゆん☆パラダイス [DVD]
B001T7E2YI

真・恋姫†無双 一 Blu-ray生産限定特装版
B002QXNTCK

    • いわゆる伊藤誠さん物件。七回で3点とられた後に呼ばれたみたいなもの(笑)。せめて1点差で呼んでくれれば……。
    • 2chのスレッドで「凄い良いコントだった」なんて書かれた。これは嬉しい。僕は怒らない。←美少女で「放課後電磁波クラブ」をやってる、みたいなものですよね(笑)

官能小説用語表現辞典

官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)
永田 守弘
4480422331

  • (前田)こういう辞典があるのだが、ここで文章を引用されているのは雑破先生と星野ぴあすだけ!どれだけ偉大か良く分かる。
  • 「泥濘の海」が女性器を表す言葉なんですか(笑)。男性器を表す言葉として、「きりたんぽ」「黒地蔵」……←連想ゲームか!
  • (雑破)僕が作った表現の中で自信のあるものとしては「カルデラ湖」。包茎ちんぽがちょっとムケて、そこにカウパー氏腺液が溜まった状態を指す(笑)。
  • (鶴岡)雑破先生の著作の中で、包茎ちんぽの皮の端からちんぽの先までのムケてる部分を「絶対領域」と呼んでいたことに感動しました!(笑)

その他

  • 文章のエロで捕まった人は、澁澤龍彦以来いない。

澁澤龍彦翻訳全集〈5〉 悪徳の栄え,悪徳の栄え 続 ジュリエットの遍歴,補遺1959年 他
4309707351
悪徳の栄え〈続〉―ジュリエットの遍歴 (1964年)
澁澤 龍彦
B000JAH6LC

  • ある意味、澁澤龍彦の裁判できちんとした基準ができた。
  • そろそろ誰か箔付けの為に捕まって欲しい(笑)
  • (雑破さんはエロ表現を編集者から止められたりすることはあるんですか?という問いに対して)無い。むしろ、このイチャイチャするシーンは長すぎてタルいんじゃないかと言われたりする。
  • 危ないんで止めましょうと言われるのは右翼関係くらいか。←(藤津)同じ「菊」でもこれは書けないんですね。←(その他全員)コラ!(笑)
  • 漫画原作をやってる人が書くエロはカット割りが感じられる。描写が周囲に振られて、最終的に戻ってくるみたいな表現が行われる。
  • 対して、専業の人は視点が固定される。


(次回に続く)

*1:ネット創世記のオナニー日記でも有名