FBB秋の「イングロリアス・バスターズ」大予習会
金曜日の事なのだが、「FBB秋の『イングロリアス・バスターズ』大予習会！」に行ってきた。最近毎日イベントレポートを書いてるような気がするのだが、実際ほぼ毎週ロフトプラスワンに行っているので仕方ない。
10月16日（金）新宿ロフトで『バスターズ』予習会 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記
内容はというと、「イングロリアス・バスターズ」の元ネタとされる映画の予告編やら本編の一部やらを上映し、関連作を予習しつつ本編に備えようという趣旨なのだが、イベント冒頭の「この中でケッテンクラートって何だか知ってる人？……じゃ、MMシリーズ作ったことある人？……じゃ、バンダイは何分の一か答えられる人？」という、第二次大戦を主題とする映画なら当然すぎる質問に対し、手を挙げるのは数人のみという恐るべきイベントであった。前にカップルが座っていたのだが、女の方は次第に興味を無くし、チラチラ時計を見つつ壁に頭をもたれかけるようになっていったのに対し、男の方は終始ニヤニヤしつつ、なんとか彼女に解説しようとしていたのが印象的だった。
1/48 MMシリーズ ケッテンクラート牽引セット カート付き
町山智浩によるデヴィッド・リンチの物真似や、「ハリウッドを操っているのはイーライ・ロス」という爆笑ネタに今ひとつピンと来てなかった女性客が休憩中に「コラムの花道」の本にサインを貰っていたりしたので、そこら辺からファンになった人達が多かったのかもしれない。
コラムの花道―2007傑作選
紹介された映画は、直接のリメイク元となる「地獄のバスターズ」の他に、テーマ曲の引用元として「遙かなるアラモ」に「非情の標的」に「戦争プロフェッショナル」、犯罪者やならず者を集めた特殊部隊を敵地に潜入させる関連作として「暁の七人」、「戦略大作戦」、「特攻大作戦」等々。
地獄のバスターズ〈デジタル・リマスター版〉 [DVD]
他に、「追想」にも触れていたのだが、これについてはアメリカ映画特電でも喋っていた。
「地獄の謝肉祭」は、「イングロリアス・バスターズ」本編のとある場面でブラピが偽名を騙るのだが、それが「地獄の謝肉祭」の監督アンソニー・Ｍ・ドーソン監督の本名、アントニオ・マルゲリ−ティだとのこと。こんな、ロフトプラスワンでも1人くらいしか笑わないギャグを入れ込むタランティーノはどうかしてるぜ！きっと現場でもブラピは何が何だかわかってなくて、笑ってるのはタランティーノとイーライ・ロスだけ！……という紹介の仕方が面白かった。
「Hitler dead or alive」は1942年に作られた戦意高揚映画であるのだが、なんか取り返しのつかないネタバレを目にしたような気もする。
トークは終始町山智浩の独壇場で、ヒートアップしてネタバレしそうになる町山を、その他全員が必死に制止するという構図が最高だった。まぁ、11月20日の本編公開日を楽しみに待つことにしよう。
ただ、タランティーノは戦争映画が好きなわけじゃないので、ケッテンクラートやシュビムワーゲンに代表されるようなAFV的見所は「イングロリアス・バスターズ」本編に全く存在しないとのこと。スピルバーグが「プライベートライアン」にてやったケッテンクラートの片輪装甲や「戦略大作戦」でやった歩兵だけでタイガー戦車を倒すシーンのオマージュみたいな魅力は皆無らしい。
きっとタランティーノは戦争映画が好きじゃない、じゃ、何が好きかって言うと、酒場で映画の話をダベったりするのが大好きなので、意味無く映画の話をするシーンがてんこ盛りだという。ならす者戦闘部隊ブラッディウルフじゃなかったイングロリアス・バスターズにも、映画に詳しくないと入隊を認められないそうだ。良いなぁ、その入隊基準。
他に、ガンダムとヤマト以前は戦争映画とAFVのプラモが男子の娯楽だったとか、「イングロリアス・バスターズ」はサロン・キティが舞台となるべき……等々の興味深い話題満載だったのだが、トークの内容は後日洋泉社より発売される映画秘宝増刊のムック本に掲載されるとのこと。気になる人は買って読むんだ！
掲載カットされそうなところでいうと、出演者の一人であった柳下毅一郎が翻訳した「フロムヘル」を会場で売っていたのだが、「ムーア先生に失礼」とサインを拒む柳下に対して「平仮名で”あらん・むーあ”って書けば良いじゃん！」と大声する町山智浩の無茶振りと、「Call of Duty： World at War」にはヒロヒトの映像が使われているので日本版の発売は絶望的という話題の後に「ヒロヒトってパブリック・ドメインじゃなかったの？」という同じく町山のボケが爆笑だった。
