オタク大賞R5〜オタクはつらいよ・望郷編〜2009年のロボットアニメ その3
(前回の続きです)
まとめ その1
- 「グレンラガン」、「エウレカセブン」、「エヴァ」、「ガンダム」、「真マジンガー」……あと、忘れちゃいけない「ペールゼン・ファイルズ」。今年発のロボットアニメが全然無い。過去に蒔かれた種を今刈り取っている感じ。
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- どれも戦闘シーンが売りで、画(映像)の悦楽がある。
- (京田)「エウレカ」の劇場版が今年になったのは偶然。本当はもっと早くやるつもりだったが遅れた。「エウレカ」と「グレンラガン」で露払いしておくので、ヱヴァ売れてください!という感じ。
- 前田さんにとっての「エヴァ」が僕らにとっての「エウレカ」なんですよ!という大学生がいた。オタクのプロダクション(生産・生成)にとって、そういうのは重要。
- 50代にとってのそれは「ヤマト」だった。そういうわけで、50代は誰も期待してない実写版「ヤマト」に期待する(笑)!
- 波動砲六連射できて嬉しいんですか(笑)?
- 時代が経つと冷静に評価できるというのもある。「F91」のクロスボーン・バンガードのMS見た時カッコ悪る!と思ったけど、今見るとザクファントムよりは格好良いよね(笑)。←(前島)あれはGジェネとかで一緒に戦わせると格好良さが丸分かりなんですよ。
- ロボットアニメは思春期のもの。今ティーンエイジャーの人たちが「グレンラガン」にヤラれるのは当然。
- 10代にとってのマイファーストロボアニメとして「ガンダム」や「エヴァ」や「エウレカ」や「グレンラガン」がある。自分にとってのリアルを反映し、仮託できるもの。
- 20〜30代でそれが裏切られる(笑)。40〜50代になると、「観られるだけでありがたい」となる(笑)。
- そういえばちょっと前のオタク大賞で、岡田さんや唐沢さんが「平成ゴジラ」を泣きながら観るという話をしていた。
- 80年代に池田憲章さんが「藤津くん、僕の好きな特撮はもうダメなんだよー」という話をしていた。その時はよく分からなかったが、90年代になってアニメがダメになり始めた時、「これかー!」と思った(笑)。
- 昔、イギリスは模型大国だった。それがタミヤとか日本のメーカーが活躍し始めた頃、イギリスの人達は「今に分かるよ」みたいなことを言っていた。今、トランペッターとかアジア系のメーカーが元気になってきて、あの頃のイギリス人の気持ちが分かる。これかー(笑)。
海外ロボットアニメ
ムービー・マスターピース ATOM 1/6スケールフィギュア アトム
- ハリウッドCGアニメ版アトム「ATOM」の話ですが、とりあえず顔が長いのでコバルトに見える、というのは皆言ってる(笑)。
- 「WALL・E」の未来都市、どこかで見たことあるなーと思っていたら、「時空の旅人」を観返して「これかー!」と思った(笑)
- (東海村)「WALL・E」のデザインは凄い。全然美少女じゃない美少女ロボが出てくる。相当日本アニメを研究している。ゼロ戦作ってる人がグラマン戦闘機見た時の感じはこれだと思う(笑)。
ディズニー DXアクションフィギュア サーチ&プロテクト EVE (イヴ)
- (東海村)職人対職人の対決というよりも、アメリカは職人が物量でやってくる感じ。研究費とギャラが別で、研究費が凄い。以前レゴ社で仕事をした。レゴ社というのは世界中に8つくらいのサテライトを持っていて、世界中から新企画のプレゼンを募集する。40コくらい。で、全部落とす。そのレゴ社の社内プレゼンのギャラと、バンダイの普通に採用される仕事のギャラが同じ(笑)。
- その費用は当然商品単価に反映される。だからレゴの単価高い。僕らが泣きながらバイオニクル買う金は、ここに使われるのか(笑)!*1
- アメリカは研究費とギャラが別立て。日本はギャラの中に研究費が含まれる。この違いは本当に大きい。……暗い話はここら辺までにしましょう(笑)。
まとめ その2
- ハイターゲット向けばかりで、小学生向けのアニメが無くなってきている。
- 戦隊ものは未就学児童向け。ライダーのターゲットはもうちょっと上か?
- (藤津)7歳の息子が戦隊ものは幼稚で子供っぽいというので、オマエの年齢なら今「デカレンジャー」と「シンケンジャー」を観ないと後悔するぞ!と説教した(笑)。
- (前島)そんな生意気なこという子供には「ジェットマン」の最終回観せれば黙りますよ(笑)!
- 今年はロボットアニメの劇場版が多い。それはロボットアニメの最前線がテレビじゃなくなったということ。「バクマン」のゴールが漫画の大作や名作を書くことではなくて、テレビアニメ化であることと似ている。
- (東海村)未だに「次のガンダムデザインコンペに参加しませんか?」というメール連絡が届くのを待っている(笑)。リリー・フランキーが、未だにドラフトになると指名されんじゃないかとドキドキするというようなことを言っていたが、それと一緒(笑)。
ロボットアニメの未来
- (京田)ロボットアニメに未来はないと思うけれど、自分のところに来る話はことごとくロボアニメばかり。
- 今のプロデューサーは年齢的に「ガンダム」で育って「エヴァ」で儲けることを覚えた世代だからじゃないですか?
- (京田)ロボットアニメには作る根拠が必要。何でこのロボットであるのか?という。それならマジンガーのリメイクで良いじゃん!というのでは駄目。
- (東海村)現在のロボットものは「敵」に困っているのではないか。「ガンダム」で悪くない敵、「エヴァ」で何だかわからないけどスゴい敵というものが発明された。その次を誰も考えつかない。
- (藤津)戦争は単なる背景にすれば?そこで宝探しをやるとか。←それは「ガンダムX」(笑)!
- (京田)ロボと戦争は切り離せない。でも、現代戦は難しい。「ガンダム00」ではゲリラ戦やテロリズムを扱っていて現代戦っぽく見えるが、やってるのは昔のゲリラ戦。作る方も観る方も理解出来るのはベトナム戦争くらいまで。現代戦、それもテロとの戦争は分からない。
- 必要なのは戦争から導き出される混乱状況で、皆政治に興味無い。今、ロボが必要な状況を考えるのが難しい。←そこには「ガサラキ」という死体がある(笑)。
- 「ガサラキ」は今観ると面白い。不条理をものともしない強さがある。だんだんロボが必要無くなってくるが。
京田監督が次にロボットアニメを作るとしたら?という質問に対して
「劇場版エウレカセブン」は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」を意識していたのか?という質問に対して
物語にロボットって必要ですか?
- (京田)ロボットが必要になる物語というのは1パターンしかない。世界の謎を暴く鍵だったり、命運を握る存在としてのロボット。主人公と世界を繋ぐ存在としてのロボットで、どうしてもセカイ系になる。「ぼくらの」なんかは典型例。それをどう外すか?というのが問題。
- 最初の「ガンダム」はそれを外そうとしたが、「∀」や「00」で回帰した。今考えると黒田洋介は最初から「イデオン」をやる気満々だった。
- 水島精二はそれをなるべく外そうとした。水島監督のフィルモグラフィーにある「ダイ・ガード」なんて反セカイ系の極地。
- ガンダムの大問題はガンダムがキャラクターになってしまったこと。「最強の機体」とか、物語として余計な属性がついてしまう。
- これを回避する為にはどうすべきかというと、量産機の中に一気だけVアンテナがついてる機体があって、それが継承されてゆく……みたいな方法がある*2。それに合わせて、最初グレーだった機体色が段々トリコロールになっていく、みたいな。
(次回に続きます)