その3 イルカとうざいイルカ


古林:ふぅー……。
形霧:おや?どうしたんだい、古林君?
古林:おう、形霧か・・・。いや、実はちょっと疲れてな……。
形霧:毎日セックスとオナニーで体を鍛えている君が疲れたとは珍しいね。
古林:うるさいな!
形霧:まあまあ、これでも心配してるのさ。訳を話してごらんよ。
古林:……実はな、新しく八景島に入ってきた「菅原」ってのがいるだろ。
形霧:あー、カマイルカの彼ね。確か君が教育係だったよね。彼がどうかしたのかい?
古林:実はな……。



菅原:ウキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ。
古林:……ど、どうしたんだ、菅原?
菅原:ハジメマシテ、古林センパイ。ドウゾヨロシク。
古林:……よ、よろしく(変な奴だな)。
菅原:古林サンハげーむトカヤラレマスカ?
古林:ゲーム?あ、あんまりやらないなぁ。
菅原:ボク、げーむ大好キナンデスヨネー。特ニコノマエヤッタ「テイルズ・オブ・○○」ハ面白カッタナー。
古林:そ、そう(何だ、いきなり)。
菅原:イヤー、中古屋デ安ク売ッテタンデスケド、イイ買イ物シマシタヨ。
古林:良かったね・・・。
菅原:古林サンモ欲シイげーむヲ買ウトキハ、安クナルノヲ待ッテカラノ方ガ良イデスヨ。
古林:あー、そうなんだ……。
菅原:ソウデスヨ、ソウデスヨ。ソモソモげーむノ流通、トイウモノハ特殊デ……。キョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ……。
古林:(……何言ってんのか良くわからないな)



菅原:ウキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ。
古林:おう、今度はなんだ、菅原?
菅原:センパイセンパイ、古林センパイ。センパイハ魚、ナニガ好キッスカ?
古林:……魚?そ、そうだなぁ、ありきたりかもしれないけど、やっぱりアジかな。
菅原:「アジ」ッスカ−。「アジ」モ美味シイデスヨネー。味ガ濃イト。僕ハ「タラ」ガ好キナンデスヨー。
古林:へー、そうなんだ。
菅原:「タラ」、オイシイデスヨネ。ボク、大好キナンデスヨネー。特ニ「タラタラソース」トカカケルト、メチャ美味デスヨネー。シカモ「マグロ」トカト違ッテ、低脂肪、高蛋白ナンデスヨ。コレカラノイルカハ健康ニモ気ヲ使ワナクチャネ!
古林:……そ、そうだね(タルタルソースじゃないのか?しかもどうやってかけるんだ?)。
菅原:餌係ノ人ニ「タラ」リクエストシテルンデスケド、ナカナカ出ナインデスヨー。ヤッパ八景島ノ陰謀デスカネー、陰謀。
古林:違うと思うぞ。
菅原:デモネー、ヤッパ「タラ」が「タラタラ」で「タラタラタラタラタラタラタラタラ・・・。
古林:(……さっ、俺は仕事、仕事)。
菅原:ウキョキョキョキョキョキョッ!
古林:(……おいおい、笑ってるよ)。


菅原:ウキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ。
古林:……またお前か。
菅原:古林サン、古林サン。デヴィッド・古林サン!古林サンハ彼女イマスカ?
古林:彼女?人間の彼女とイルカの妻とイルカの愛人と人間の奴隷が一人ずついるさ。そういうお前はどうなんだよ?
菅原:エーッ。僕デスカ−。僕ハー、特定ノ人ハ居ナインデスケドー、休ミノ日トカニ親シクサセテ貰ッタリ、一緒ニ旅行ニ行ク「友達」ハ沢山イマスヨー。
古林:へー、そうなんだ。良いねェ、セックスフレンドが沢山いて。俺もみんなセクフレにしとけば良かったよ。
菅原:嫌ダナー、ソンナンジャ無イッスヨ。古林サンハエロエロダナァ。
古林:……(今、沢山って言ったじゃん。そういう話をふってきたんじゃないのか?)
菅原:ネェネェ、向コウノプールノ「佐藤サン」ッテゴ存知デスカー?アノ人彼女欲シイ、彼女欲シイッテイツモ言ッテルケド、アンナニ変ジャイツマデタッテモ彼女デキナイデスヨネー。
古林:ん?(話が飛ぶなぁ)。
菅原:ネェネェネェネェ、向コウノプールノ「斎藤サン」ッテゴ存知デスカー?アノ人結婚シタイ、結婚シタイッテイツモ言ッテルケド、アンナニ「ガッツイテ」ルンジャ、イツマデタッテモ結婚デキナイデスヨネー。
古林:何?、結局何が言いたいの?
菅原:エッ?ツマリー、「佐藤サン」トカー、「斎藤サン」ハー、イツマデタッテモ女ノ子トツキアエナイッテ事デスヨー。
古林:(……違うだろ)。



古林:……と、まあ非常に「うざい」男なんだよ。菅原って奴は。
形霧:へー、知らなかったな。えっ?オタクだから嫌いって事?
古林:いや、オタクとはちょっと違う。ゲームや、魚や、女の話は他の奴ともするけど、うざいって感じた事はないさ。
形霧:じゃあ、何でそんなに嫌いなのさ?
古林:……あいつ自分から話をふってくるクセに、いつも最後は自分の話になるんだよ。結局自分の話しかしないんだよ。多分それが原因だな。
形霧:そういえば、そんな題名の本があったね。
古林:もう、うざくてうざくてうざくてうざくて……顔を見るのも嫌だー!でも俺が教育係だから離れられないんだよ。
形霧:大変だねー。でも世の中にはいるよ、そういう人が、っていうかイルカが。



形霧:あれじゃないの?まだ話相手があんまりいないから、君とお話したいんじゃないの?解ってほしいんじゃないの、自分の事を。
古林:でもなー、いっつも最終的に自分の話になるのがなー。結局自慢したいだけなのか?って感じがするよ。
形霧:「自分の話をする」っていうのは、それがどんな内容であれやはり自慢なのさ。「自分はこんなに不幸だ」とか「自分はこんなに駄目な奴だ」って話も結局は自分の「不幸自慢」や「駄目さ自慢」なんだよ。
古林:それは、その通りだな。でも「ゲームを安く買える方法を知ってる自分」や「タラの美味しさを知ってる自分」や「女の友達が一杯いる自分」を自慢するのはいかがなものかと思うぜ。
形霧:自慢するとその会話の中で自分の立場が一段階上になったように感じるものさ。どっかの社会学者は1upってよんでるって話を聞いた事があるけどね。
古林:1up・・・?残機が増えるのか?……てゆーか、それもお前の「知識自慢」だろ!!
形霧:今回もだんだんだんだん狂暴になってくなぁ。まあ、そんな一銭の得にもならない会話でイニシアチブをとりたがる子供だと思ってあきらめるか、我慢しとけって事さ。



古林:我慢はできるんだけどさー。ストレスがたまるんだよな。
形霧:……、よし、君も負けじと自慢しちゃえ!
古林:えっ!何?何言ってんの?
形霧:毒を持って毒を制すさ。君がいっぱい自慢を聞かせれば、彼も人の自慢を聞くつらさを理解するだろう。
古林:なるほど、俺の気持ちを体験させるって事ね。……う、うん。そこまで言うならちょっとだけやってみようかな。でも俺自慢するの苦手だからなー。何自慢しよっかなー。
形霧:(ウソつけ。結構好きなくせに。)



菅原:ウキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ。古林サン、僕「TVlittermates」毎週買ッテルンデスヨー。イヤー、TV番組ノ放送予定ハ、新聞デモ解カルンデスケドー、「TVイルカ」ハ「オタキング岡田」トカ、「ウェイン町山」トカガ書イテル、こらむガ面白インデスヨネー、こらむガ。
古林:……そ、そうなんだ。俺はやっぱり「Dolphine Warker」を買うね。TVの放送予定表以外にも色々載ってるし。お買得じゃん。
菅原:アー、「うぉーかー派」ナンデスネー。イマシタヨ、僕ノ友達ニモ「うぉーかー派」ガ。デモ僕ハ「ぴぁ派」ダナア。「うぉーかー」ッテ演劇トカ「お笑い」トカノ予定ッテ、載ッテ無イジャナイデスカ。僕ノ好キナ若手オ笑イ芸人コンビ、「北陽」ノ活動ヲちぇっくシトキタインデスヨー。
古林:……俺はインターネットでチェックするね。確実だから。ちなみに俺が好きな若手お笑い芸人は「シャカ」と「ザブングル」だね。
菅原:「シャカ」デスカ。「シャカ」モ結構有名ニナッチャイマシタヨネ。ソレニいんたーねっとハウキョ、キョ、キョ、キョ、キョ、キョ……。
古林:いやいやいや、やっぱ今はプロバイダーじゃなくてケーブルテレビでうぴょ、ぴょ、ぴょ、ぴょ……。
菅原:キョキョキョキョキョッ!
古林:(負けないぞー)うぴょぴょぴょぴょっ!

イルカのおねえさん:……このイルカうるせー。そしてうぜー!