小泉進次郎を信用できない

我が家では、洗濯物を干すのは私の仕事だ。毎朝、子供の肌着なりパジャマなり靴下なりを、ワイドショーを観ながら干すのが日課となっている。小さい布切れを物干しハンガーにかけるイライラ感を、ワイドショー的価値観への嫌悪感で誤魔化すのが目的なのだ。
もうさ、朝のワイドショーが提示する価値観って、自分にとっては本当に異質なわけよ。30代のオトナの男女が誰と付き合おうとそいつらの勝手なわけよ。スポーツ選手が不倫しようが事故起こそうが、それに良い・悪いなんて気軽にいえないわけよ。みのもんた小倉智昭に善悪の判断なんてしてほしくないわけよ。


それでも、そんな番組を朝方に数分だけ観ると。「こんなつまらない価値観が支配する世の中に、おれなりの最後っ屁をカマしてやるぜ!」的な気力が沸いてきて、一日頑張れるのだな。まぁ、この年になっても仮病で仕事をズル休みしかねない自分に対する、モチベーション維持方法だ。ライフハックとはこのことだな、ウンウン。


で、確か一昨日だったと思うのだが、首相がTwitterでつぶやくことに賛成か反対か、街の声を拾ったりしていた。別に、つぶやきたいならつぶやけば良いではないか。首相にそんな時間はない!政治家失格!なんて言ってる奴らは、オバマやマケインも政治家失格だとみなしているのだな*1


そんなことを考えつつ洗濯物干しに精を出していると、『スッキリ!!』にて「自民党のプリンス」である小泉進次郎が登場し、全然スッキリしない台詞を口にした。

「私自身はTwitterをやる気になりません。自民党最年少だけど、アナログな人間なんです」


参考:首相、ツイッターやってる場合か スタジオ陣は賛成「街の声」は? : J-CASTテレビウォッチ


以前から、何故か小泉進次郎のことが信用できないなぁと感じていたのだけれど、それは100パーセント感覚的なもので、なかなか言語化できなかった。だが今、そう感じる理由がハッキリとわかった。


たとえば加藤紘一河野太郎が「Twitterなどやらん!」と宣言しても、別にどうとも思わないわけよ。私は現在34歳なのだが、一回りも二周りも年上のおっちゃんが「アナログ人間なので、ハイテク器機は得意じゃない」と発言しても、ああそうなんだと思うだけだ。
http://www.taro.org/2009/12/post-669.php


だが、小泉進次郎は28歳だ。28歳のうら若き衆議院議員が「アナログ人間」を標榜する理由はただ一つ、同じく「アナログ人間」であり、Twitterやらインターネットやらに嫌悪感を持つ5、60代の有権者へのアピールだ。そう、小泉進次郎28歳は同世代の若者や私のような一回り上の30代ではなく、5、60代の有権者の方に顔を向けているのだ。「僕は28歳の若者ですけど、5、60代の旦那様方の利益を代表しますよ、デヘへへへ(笑)」と言ってるのだ。
そうでなければ、28歳の男が自らを表現する言葉として「アナログ人間」なんて単語を用いる筈が無い。若者ってのは、年寄り世代が理解できないテクノロジーやコミュニケーション・ツールを使いこなし、また使いこなすことを自らのアイデンティティとするものだという強い思い込みが自分にはある。だから、これは偏見だ。しかし、上の世代との対立を避け、媚を売るような若者を信用できない、という一つの価値観でもある。


そうだ。若き国会議員といえば杉村太蔵のことも信用できなかったが、その理由は政治家としての能力の無さからだった。世襲ということでいえば、宮崎吾郎のことも快く思わなかったが、信用できないというよりは、なんだか可哀想という思いの方が強かった。小泉進次郎には、彼ら二人とは異質の不信感を持たざるを得ない。


勿論、小泉進次郎が匿名でTwitterのアカウントを取得し、バリバリ使いこなしているという可能性もある。「アナログ人間」なんて言葉を使う理由も、自民党の有力者の信用を勝ち得て上に上り詰める為でかもしれない。然るべき位置についたら『レイズナー』のロアン・デミトリッヒの如く「裏切る」可能性もあるかもしれない……と思うよ、多分。

*1:オバマは自分じゃやってないそうだけど