児童ポルノ法案に関してお話を聞きしたいと思って……
「児童ポルノ法案に関してお話を聞きしたいと思って電話したんですけど……」と、主要政党六党に電話をかけたさまがニコニコ動画にアップされていて、話題になっているという。
児童ポルノに関して政党に電話突撃した『ニコニコ動画』が大人気 | ガジェット通信 GetNews
一応全部聞いてみたのだが、いや、凄いよね、これ。特に自民党と社民党が。
社民党はさ、たまたま担当者がオタクでラッキーな言質を引き出せたのだなと得心していたら、福島みずほ自身が、「児童ポルノ」に関してコメントした動画があった。
つまり、社民党の担当者はオタクだからああ答えたわけじゃなくて、党の見解をきちんと述べたわけなんだよな。きちんと仕事してるんだよ。
まぁ、わざわざ電話してくれた有権者に対して方針をきちんと説明するというのは、「まだ未決定」と答える他の政党も同様なわけなのだが、とにかく自民党とその他の政党間の応対の差がデカすぎると思う。多分自民党の担当者は、Youtubeとかニコニコ動画とか存在すら知らないんだろうな。
今の二十代くらいは全然知らないかもしれないけれど、私のようなおっさんが若かりし頃、東芝クレーマー事件というのがあったんだよ。
この事件は当時もの凄く話題になって、インパクトのある事件だった。ネット上だけでなく週刊誌に記事が掲載されたり*1、この事件をきっかけに2ちゃんねるがアクセス増で掲示板サイトとして急成長したり、東芝製品の非買運動が起こったり、東芝の副社長が直接謝罪に出向いたりした。
この事件がきっかけとなり、多くの企業がユーザーサポートの体制を変えた。大抵の企業の電話対応が、たとえ音声ファイルをネット上にアップされても問題とならないくらい、まともになった。つまり「東芝クレーマー事件」は、金も地位も無い一個人がネットを武器に大企業や権力とガッツリ戦うことができ、社会を変えられるということを証明した最初の事例だったんだよ。
全証言 東芝クレーマー事件―「謝罪させた男」「企業側」 (小学館文庫)
前屋 毅
で、今回の「児童ポルノ法案に関して……」なのだが、編集や電話をかける条件が全く同一のものだったと仮定した上で*2、やっぱり自民党はヒドすぎる。
つまり自民党は、「東芝クレーマー事件」から10年も経ったにも関わらず、電話応対すら古い体質のままであることを証明してしまった、ってことなんだろうな。こういうのを個人でなく組織を一単位とした上でのデジタル・ディバイドっていうのかね?
「東芝クレーマー事件」当時、私は大学生で、研究室のPCで音声を聞こうとしたら、その音声ファイルがリアルオーディオ形式か何かでその時のブラウザ非対応だった為、聞けなかったことを覚えている。
でもYoutubeやニコニコ動画ができて、こういう戦い方がスゲーやり易くなった、というのは二周遅れくらいの感想かな?でも、ちょっと前にホリエモンがNHKの取材を受ける条件として、取材過程そのものの映像をYoutubeにアップすることを要求したりしていたのだが、こういうのが組織や社会と対峙する個人の戦い方として、常道の一つになってゆくのだろう。
「取材の様子YouTubeアップ」 ホリエモンの条件にNHKは... : J-CASTニュース
そういや、「遭難フリーター」にもそういうところがあった。
奴隷の青春:「遭難フリーター」 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな
Youtubeじゃなくて映画上映という形だけれども。でも、確かあの時のNHKのディレクターは、ホリエモンの場合と異なり、逆取材を快諾したのだよな。結局は、取材者と取材対象の信頼関係が重要なのだな、全ての人間関係がそうであるように。
それにしても、「東芝クレーマー事件」の音声ファイルが未だにネット上で聞けるというのは、よくよく考えてみれば凄いことだ。
10年前か。断言しても良いのだが、インターネットが続く限りこの音声ファイルは存在し続ける筈だ。このAKKY氏なるユーザーや、東芝のクレーム担当者がこの世を去ってもなお、何らかのファイル形式でネット上に存在し続ける。勿論、件の自民党電話応対ファイルもその例に漏れない。それが恐ろしさでもあり、面白さでもあるのだろう。
……なんてことを考えつつ検索していたら、つい最近AKKY氏はPC窃盗の容疑で逮捕されていたらしい。
なんというか、時の流れを感じました。