草なぎ剛は最高の人間です
先週は学会→冒険旅行とハードなスケジュールだった。
木曜日、学会で口頭発表という重大ミッションをソツなくこなしたものの、その後の共同研究者を交えた飲み会で上司に準備中の論文についてしつこく駄目出しされてイラっときた。
イライラしたまま電車に乗っていると、翌々日からの旅行をキャンセルしたいというメールが。あれだな、これが本当のドタンバでキャンセル、通称ドタキャンってヤツだな。有休とってまで予約の申し込みをしたのにな。
だが、家に帰ってテレビを付けながらタバコ臭い服を着替えていると、抱腹絶倒のニュースに機嫌を直した。
http://www.sanspo.com/geino/news/090423/gnd0423005-n1.htm
いや、深町先生じゃないけれども、私も草なぎ剛のことが本当に大好きになったねぇ。
私は、二十歳を越えてジャニーズ大好き！なんて口にしてる女は、ハロプロ大好きとかAKB48大好きとかいってるキモオタと全く同レベルであると考えているし、知り合いでもない芸能人を君付けで呼んでるような輩は阿呆であると思っているし、ジャニーズ事務所所属の芸能人に良い印象など欠片も持っていなかったのだけれど、つよぽんだけは別だね！私のような男の暗いこころを明るくしてくれる、草なぎ剛は最高の人間だよ！
逮捕時に「シンゴー、シンゴー！」と叫んでいたり、脱いだ衣服をきちんと畳んでいたりといった深イイエピソードが漏れ伝わってくるのも味わい深い。危ないクスリを疑って家宅捜索した警察も、単にもの凄く酔っぱらっていただけということが判明して、さぞかし腰砕けだったのではなかろうか。なんか、子供と一緒に公園で寝ていただけなのに誘拐を疑われた最強伝説黒沢さんみたいなエピソードなのだけれど、それをジャニーズ事務所の芸能人がやっちゃうというのが面白いところだよな。
ただ、今回の事件、というかチン騒動で、釈然としないところもある。
この件で何より違和感を感じたのは、草なぎクンの世間のパブリックイメージがいわゆる「いいひと」だったってこと。彼の出演しているバラエティ番組を熱心に見ていない自分でも、彼が良くいえば自由奔放、悪くいえばわがままでヤンチャな甘えん坊ってイメージがすごく強かったので。だから今回の事を聞いても、ありありとその場面が思い浮かぶ感じがして「意外」って意見が意外。
http://d.hatena.ne.jp/fat-man/20090425/p2
本当に同感だ。
私も暇で暇で死にそうな時に「ぷっすま」を夕飯喰いつつ観るくらいなのだが、それでも「いいひと」というイメージはドラマでつよぽんが演じやすいキャラクターくらいに感じていた。
ユースケ・サンタマリアと一緒に素人の水着姿にテンションを上げるつよぽん。年齢的にも芸能界カースト制的にも格下である若手芸人にナチュラルな毒舌を吐くつよぽん。「俺、高橋名人より連射速いよ！」と、初期ファミコンゲームについてネイチャージモンの如く熱く語りまくるつよぽん*1。
そんなつよぽんが酒に酔った勢いで全裸になり、公然猥褻容疑で逮捕というニュースは、爆笑するけれども、それほど意外ってわけじゃない。江頭2:50や笑福亭鶴瓶や井手らっきょや小島よしおが裸でそこら辺をうろついて逮捕されたと聞くのと同じくらい、意外ではない。
意外なのは、吉本やオフィス北野やサンミュージックの芸人ではなく、ジャニーズの芸能人がそのような事件を起こした、ということだろう。
これはあくまで私の勝手な思い込みなのだが、ジャニーズ事務所所属の芸能人ってのは自分をコントロールする術にもの凄く長けているという印象があるんだよね。つまり、小学生の頃からジャニーズJr.で歌に踊りに切磋琢磨し、幾多のオーディションや人気グループへの選抜といった淘汰を潜り抜ける為には、幼い頃から苦痛に耐えて努力を続けるストイックさや、あらゆる場所で「ジャニーズらしく（しかも、それは時代によって移り変わる）」振舞う為のナチュラルな演技力といった、セルフコントロール力に優れているといったイメージを、強く持っていたんだよね。
今回の全裸事件でも、はっきり前を見据えながら堂々と受け答えする草なぎ剛の謝罪会見は見事だったし、スマステで香取慎吾が披露した涙の謝罪はタイムリーであり、効果的であった。
でも、裏返すと、それは幼い頃から自分が商品であるということを自覚しながら生きている、ということでもある。ジャニーズ事務所に所属しながら芸能界を生きていく以上、つきあっていかなければならない不自由さを受け入れている、とうことでもある。
私はテレビでジャニタレを観ていると、どんなにセックスアピールが強かろうとも、精神的に去勢された人間の哀しさのようなものを感じてしまうのだ。それは吉本芸人に感じる野生や異形さ、たけし軍団に感じる汗臭さ、サンミュージック芸人に感じる負け組感といったものとは真逆のものだ。
そんなジャニーズ事務所所属のタレントが、酒に酔って裸になって公然猥褻罪で逮捕されたという。これにはさ、自由を感じるよね。野生や異形さや汗臭さや負け組感を感じるよね。ジャニー喜多川のケツを、逆に掘ってやる的な行為に思えるよね。何人もの芸人が自身のラジオやブログでつよぽんにエールを送っていたり、私のような男性の草なぎ剛に対する好感度大アップという現象は、そのような構造があるのではなかろうか。
丁度、田代まさしが逮捕されたのと似ているところがあるようにも思う。普通に、大人しく生きていれば一生安泰であろうところを、一時の情熱と狂気でドブに棄てるような振る舞い。人間が、人間である故に持つ暗い情念を代表するような存在に、彼はなったのだ。草なぎ剛は最高の人間です！
