M-1グランプリ雑感その1

 M-1グランプリを観たのだが、一つのお笑い番組としてたいへん面白かった。

 例年、一組か二組かは「何でこいつらが決勝に残ったのか?」と首を捻ってしまうようなコンビもいるのだが、今年はどのコンビも本当に面白かった。審査員にイジられていたザ・パンチのネタですら、自分にとっては面白かった。
 というか、本当にそんなにヒドくはないと思うんだけどなぁ……と感じてしまうのは、自分が漫才のテクニックではなくネタを面白がる人間だからなんだろうな。もし決勝進出者のネタを全部文章に書きおこしたとしても、それを読んでやはり面白かったと感じるだろう、自分は。
 でも、M-1グランプリというコンテストは一つ一つのネタの面白さと同じくらい、喋りのスピード感とかテンポとか間の良さといったテクニックを重視している。それは、これが大喜利コンテストではなく漫才コンテストである限り当然のことであろう。ネタというのは漫才師本人ではなく作家が書いても良いわけだしな。

 ただ、もし本当に漫才師の(ここでいう)テクニックだけを評価しようと思えば、話は簡単だと思う。作家にネタを書かせ、同じネタについて参加者全員にやらせれば良いのだ。勿論、ネタと漫才師の間には相性というものがあるので、必ず複数本のネタについてやらせる。そういう手法をとれば、公正に評価できるのではないかと思う。

 でも、そんなことしてら一つのお笑い番組としてはつまらなくなるんだろうな。つまり、漫才でもコントでもピン芸でも、お笑いコンテストの審査の公正性と、そのコンテストを一つのイベントやテレビ番組としてみた場合の劇的さは、対立するものなのだろう。

 ただ、今回のNON STYLEの優勝に異議を差し込むつもりは無い。テクニックは勿論のこと、セルフツッコミに対してもう一回つっこむというネタのスタイルも面白かった。彼らが来年売れるかどうかは分からないけれども。