ホリエモン×オタキング

この前、オタク大賞ガールズサイドを観にネイキッドロフトに行ったのだが、そこで貰った今月号のrooftopにて、ホリエモンが読み飛ばせないことを語っていた。
rooftopというのはロフトで配っている小冊子だ。ロフト各店のスケジュールの他に、気の利いたコラムやらサブカル臭たっぷりの書評やらが載っているフリーペーパーのようなものだと考えてくれればよろしい。大抵のイベントは開場から開園まで、客入れの為に一時間ばかりとっているので、この冊子を何とはなしに読んで時間をつぶしたりするのだな。で、月に二回も三回もロフトに通うようになると、自宅の古雑誌置きスペースに山と積まれたこの冊子をみて、何故か誇らしげな気分になったりもする。


web Rooftop


で、ホリエモンはこれまでロフトプラスワンを舞台に「徹底抗戦ナイト」なるトークライブを何回かやってきていたし、今後も続けるっぽいのだが、同じ小屋の同じトークライブである所の「岡田斗司夫のひとり夜話」について、下記のように語っていた。

――堀江さんってよく「なんで?」って言われますよね。例えばこないだも、楽屋でロフトプラスワンのスケジュールを手にとって、岡田斗司夫さんのトークライブの欄を見ながら「このイベントはなんで毎回たくさんお客さんが入るの?」「どんな話をしているの?」「それでお客さんは喜んでいるの?」……ってとにかくいろいろ質問されたじゃないですか。なかなかそういったことを気にされる方っていないんですよね。


堀江:僕はそれが不思議で。楽屋でスケジュール見ていると毎月岡田さんのトークライブをやっているじゃないですか。しかも毎回ソールドアウトしている。なんでだ!?って思うでしょ。


――でもそこまで突っ込む方は余りいないです。


堀江:みんな気にしてないんでしょうね。僕は岡田さんに関する基本的な知識はあるけど、本人に会ったこともないし、特に話を聞きたいとも思わない。しかも、このイベント(「岡田斗司夫のひとり夜話」)は、岡田さんが独りで話すんですよね? ってことは講演会みたいなもんじゃないですか。よくそんなスタイルで喋ってるなと思うし、それを聞きにくる人がたくさんいるっていうのもスゴイなって思う。よっぽど面白いんだろうなって。


当ブログを読まれている方の大半がご承知の通り、私は「ひとり夜話」に足繁く通う信者の一人なのだが、ここまで「ひとり夜話」に興味を持つホリエモンがどんなトークイベントをやるっているのか、大いに気になってしまったよ。


普通に考えて、同じ小屋でやられている同様のイベントが気になる、というのは自然に感じる話だ。たとえば、岡田斗司夫勝間和代を「師匠」と呼んでリスペクトを捧げていて、サイトの構造を師匠と同じにしたと言っていた。みうらじゅんも一つのマイルストーンにしていて、自分も最終的には武道館や東京ドームでイベンやりたいと言っていた。勿論、これは岡田だけのことではなく、正月にあったオタク大賞にて、珍しく女性の一人客がいるなと思ったら、今回のオタク大賞ガールズサイドに登壇したりしていた(人違いだったら御免なさい)。


聞くところによれば、ホリエモントークライブも岡田斗司夫のそれに負けず劣らず、毎回満員らしい。しかし、ホリエモン一人で喋るわけじゃなくて毎回ゲストを呼ぶというスタイルらしく、そういう点から気になっているということだろう。


ニコニコホリエモンチャンネル - ニコニコチャンネル:社会・言論


だけれども、ちょっと面白く感じるのは、世間的には岡田斗司夫より堀江貴文の方が何百倍も有名だという事実だ。なにしろ近所のヤンキー夫婦までホリエモンのことを知っているのだから*1。しかし、ロフトプラスワンという極地においては、それが同等となり、時には逆転する。
実際自分も、「ひとり夜話」には足繁く通うものの、「徹底抗戦」に参加してみようとは思わなかった。その理由は何だろう。
オタキングに興味はあってもホリエモンに興味は無い、というのが正直なところなのだが、そういった個人的な好悪という感情をできるだけ排除すると、オリジナルな価値観を受け取れそうにないから、というのが原因に思える。


以前、岡田斗司夫は、まだライブドアの社長だった頃のホリエモンに対して、ブランド物のTシャツばかり着るのが格好悪いと言っていた。それはつまり、単にセンスが悪いということではなく、あれだけ金があって、あれだけ注目されてるのに、単にブランド物のTシャツを着るだけというのは、全然面白くないというのが大意だった。自分でデザインしたTシャツとか、無名のブランドだけれども、自分がそれを着ることで新たな意味を持つようなTシャツを着るべきだと。
で、実際ライブドアにはTシャツ販売する子会社を買収してたんだよね。それも、Tシャツのデザインを公募して、コンテストして、一位のものから順に商品化するというCGMのお手本みたいな会社を。


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結構イカしたTシャツがあって、私も何枚か買った。単純に、グループの社長ならこれを着るだけでも大分違っただろうにと思う。
たとえばアメリカの大統領はアメリカ製のスーツしか着ないというのは有名な話だ。いくら金持ちで、セレブだとしても、アルマーニとか とかいった他国のブランドではなく、質やブランドという点で劣る自国のスーツを着なくてはならない。それは彼がだいとうであるからだ。
はてな任天堂の役員達が、自社のイベントでスーツではなく自社ブランドのTシャツを着ることが多いのも、同種の理由からだろう。つまり、自社オリジナルの価値観というものを、着ている服という要素としてはちっぽけなものにおいてさえ、アピールしたいのだ。
じゃ、ホリエモンには、Tシャツを通してアピールしたい価値観というものがあったのだろうか? それも、「俺は金持ち」以外の。


ホリエモントークライブにあまり興味をそそられない理由というのも、根っこは同じであると感じる。ホリエモンニッポン放送の買収を試みた時、自身が望むと望まざるとに関わらず、彼は「カネが全て」という価値観の体現者だった。
でも、「カネが全て」という価値観は、何十年何百年前、それこそ「カネ」という概念が発明された頃からあるものだ。そんな話を聞かされても、今更という気がする。ホリエモンにとって「カネが全て」という価値観は、他者から押し付けられた借り物の価値観という感じがするのだな。
そう、借り物だ。多分、ホリエモンがやりたいのは金儲けでは無く、既存の枠組みやシステムを破壊したり組み替えたりすることにあると想像するのだけれど、ホリエモンがネットだのITだの政治だのビジネスだのの話をする時、そこには必ず「カネが全て」という価値観が纏わりついてしまうのだ、本人が好むと好まざるとに関わらず。


ただ、今回気づいたのは、多分ホリエモンはそういうことを自覚してるのだろうということだ。おそらく、自分のべしゃりに商品価値があるのかないのかを冷静に把握している気がする。岡田斗司夫の独演会的トークライブを気にしたり、毎回豪華なゲストを呼んで対談形式にするのはそういう理由からだろう。正直、ひろゆき竹中平蔵がゲストの回は観てみたい。
ホリエモン×ひろゆき 語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」
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また、ホリエモンライブドアという会社をどう立ち上げ、どのようにその座を追われるに至ったかを、自らの口で語るのならば、それはそれで興味がある。それはホリエモンが自らの血と汗と涙を流して獲得したオリジナルそのものだからだ。丁度、岡田斗司夫が「遺言」というトークライブでゼネプロやガイナックスのことを語ったように。
徹底抗戦
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でも、果たして本当にそういうことに触れるライブなのだろうか? 普段のホリエモンのブログ内容からは、若干違うものを想像してしまうんだよな。ロフト海賊版としてDVDが発売されているらしいので、機会があれば確認してみたいところだ。
ニコニコ動画にもライブの模様が有料でアップされているのだが、正直この一ヶ月ウン千円という課金方法が気にいらないんだよな。これだと、新しい動画をなるべく早期に観るためには常に入会状態を維持しなくてはならず、信者ほど金がドバドバ出て行く一方で、新参者には敷居が高い。一動画につき数百円程度にすれば良いのに。


ニコニコホリエモンチャンネル - ニコニコチャンネル:社会・言論


気にいらないといえば有料メルマガもそうで、ホリエモンほどの知名度があれば、ブログで無料で公開して、自分の「信者」というか、熱狂的ファンというか、ロイヤルカスタマーを増やした方が最終的な利益が大きいと思うんだよな。なんか、目先の利益に走り過ぎという感があるのだ。それも「カネが全て」という価値観の発現というならそれまでだけれども。まぁ、ホリエモンが一番読まなきゃいけなかった本は、『沈まぬ太陽』じゃなくて『フリー』だったということで。
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小林弘人
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ちなみに、ホリエモンにとって売りになるオリジナルな価値観といえば、それはやはりAV評論だと思うんだよね、私は。いや、実際読んだこと無いんだけれども、なんでもホリエモンのAV評論といえば、徹頭徹尾ユーザー目線に立った姿勢が一部で高評価という。


http://www.zakzak.co.jp/gei/200902/g2009020322.html


レンタル店に何百何千枚と並んだDVDの中から、どのAVを、どのような観点から選ぶか、それはオリジナルな価値観そのものではないか。
勿論、そこにもカネが全て的価値観は絡んでくる。しかし、「エロ」それも「ホリエモン独自のエロ」という、より大きなインパクトを持った価値観がそれを覆い隠すという寸法だ。
だから、↓のようなイベントにもっと参加すべきだと思う。


http://www.zakzak.co.jp/entertainment/ent-news/news/20091022/enn0910221641020-n2.htm


もっといえば、ホリエモンはこれまで数々の女優やアイドルやグラビアアイドル達と浮名を流してきたわけだが、その女遍歴というのが聞きたい。単に男版石原真利子をやって欲しいというわけではない。世の中には星の数ほどの女性がいるわけだが、どのような女性を、どのような属性で選び、どのように付き合ったかが聞きたい。それこそオリジナルな価値観そのものだからだ。
でも、そんなことをしたら絶対にモテなくなるので*2、それをやるとしても結婚後だろうな。

*1:対して、岡田斗司夫に関しては「誰それ?」レベル。『トップをねらえ』のことは知っていたが。パチンコ効果か?

*2:ただでさえさげちん疑惑があるのに