日本オタク大賞2009ガールズサイド
せっかくなので、これも勉強かと思い観覧してきた「オタク大賞ガールズサイド」についてもレポートをアップしたい。
私は男なので、当然のように女子ネタについてはちんぷんかんぷんだ。だから当イベントについてはあまり楽しめないかなと思いつつも、男と女の感性の違いについて知見を得られる、それなりに面白いイベントであった。
客も、やっぱりというべきか、男性が多く、腐女子が男オタ向けに女子的感性について説明するようなスタイルであった。そう、ガールズサイドというよりも腐女子サイドという名がふさわしいイベントだったのだな。
以下、印象に残ったことを中心にメモとしてまとめる。いつも通り私なりのバイアスがかかったまとめ方なのでご注意を。括弧内は覚えている限りの発言者の名前、もしくは私の感想。←はツッコミ的コメントだ。
挨拶
シンケンジャー
帰ってきた侍戦隊シンケンジャー 特別幕 限定版 (初回生産限定) [DVD]
- 今年の特撮といえば男子にとっては『ディケイド』だったかもしれないけど、女子にとっては『W』と『シンケンジャー』。
- 『W』は一人称が「俺」と「僕」という二人の主人公が合体して変身するというのが女子にとって重要
- 『シンケンジャー』は丁度今日(2/7)最終回の放映日だった。←じゃ、皆さん虚脱状態なんですね(笑)
- 今までの戦隊モノだと五人の関係性は平等だった。「シンケンジャー」はそこに主従関係が入ってきたのが重要。
- 殿がツンデレなのが良い。心を閉ざしがちだった子が、最終回で「ありがとう」と言う。最大のデレを見せるんですよ!(笑)
- 30分の中にあれだけ入れた脚本を書く小林靖子は凄い。きちんと見どころを入れて、玩具を紹介して、「え?」というネタまで入れる、第一話のおでんとか(笑)。
- 私は小林靖子様と、最後に「様」をつけて呼んでます。
- 腐女子は相手が腐女子かどうか分かる。インタビューしてて分かったのだが、小林靖子が腐女子じゃなかったことが驚きだった。←そんな、フォークト・カンプフ検査みたいなのがあるんですか(笑)。
- 「電王」には女が求める男が全て揃っている。赤はやんちゃ、青はヤサ男、黄は男らしくて、紫は子供。それが一つの空間でじゃれあっている。
- 基本的にAパート*1の方が好き。Bパートになるとどうやって終わらせるのだろうとドキドキする。
- 『水戸黄門』で由美かおるが風呂に入るように、『シンケンジャー』では殿が風呂に入る。ピンクとイエローは入らないのに(笑)。
- 最終回で一番泣けたのは爺が助けに来るシーン。思わず爺×殿を妄想した。
- ショドウフォン、サカナマル、スシチェンジャー……。店頭で奇天烈な玩具を見ていると、『愛國戰隊大日本』をパロディと思えない(笑)。
テニミュ
ミュージカル「テニスの王子様」The Final Match 立海 First feat.四天宝寺
- シンケンブルー、キバ、ディケイド……、『ミュージカル・テニスの王子様』はすっかり特撮に新人を供給する機関になっている。
- 年間80公演。東京から始まって、全国各地を巡業し、最後は東京で凱旋公演。←最後は演技力とか変わりそう。←そこはなんとも言えないんですけど(笑)。
- テニプリフェスタというのがあって、一大市場になっている。皆、財布の紐をゆるめるつもりで来ている。一万円のタペストリーを一キャラごとに売ってたりする。←男でいうところの抱き枕みたいですね(笑)。
- 「テニミュ破産」なんて言葉もある。
- でも、男子みたいに生々しくないですね。男だとおっぱいマウスパッドとか、フィギュアとか……(笑)。
- 『黒執事』『BLEACH』『忍たま乱太郎』……、ミュージカルの方が儲かると、皆気付いた。「ミュ」の一大市場ができた。
- 『忍たま乱太郎』の主人公は一年生だが、六年生が大人気。←そういや、この前とあるフィギュアメーカーが「こんなのあるんですけど、人気が出るかどうか分かんないんですよ」と話を持ってきたが、その場に居合わせた女子が「えー! 五年生は? 六年生は? キャー!」と興奮して、「何、五年生って?」と思わず聞いてしまった(笑)。
- 更に、学年ごとのヨコ割りに加えて、タテ割り組織である「委員会」というシステムが出来た。これは女子にとって都合が良い。
- 僕らの知らないところで悪いこと企んでいる人がいるんですね(笑)。
- 東京ドームシティにジャンプショップがあるのだが、元キャストが買物してた。「私ファンなんです! 握手して下さい!」公演に行ってみたら、その元キャストが客として来ていた。生態系ができてる! ←カネが回るってことですね(笑)。
- ネルケプランニングが製作を行っている。最近力をつけている企画会社で、「ネルケ声優」なんて言葉もある。
- 脚本をやってるのが三ツ矢雄二。←だから人気あるのか! ←某J事務所みたいな感じですね。
『ヘタリア』
- 国の擬人化なのだが、キャラ設定がざっくりとしている。解釈に幅があるということが二次創作にとって大事な点。
- 私がこの前読んだ小説は凄い書き出しだった。「ロシアの体は冷たい」(笑)。
- 擬人化で大事なのは関係性。国同士の力関係とかに萌える。
- 男が考える擬人化と、女が考えるそれは違う。
- 男の擬人化はフォルムから入る。たとえば『びんちょうタン』。
- 女の擬人化は関係性から入る。たとえば『青春鉄道』。
- 『青春鉄道』は駅じゃなくて路線の擬人化。路線乗換が関係性になる。遅延が起こった時に、振り替え輸送を誰に頼めるか? 僕のこと好きなの? 嫌いなの? そういうのに萌える。男なら車両を擬人化する筈。
- フィギュアが女性にいまいちウケが悪いのは、単体で出すからか? 「ハルヒとキョン」とか、二人セットの方が良いのかも。
- 『ミラクルトレイン』のネーミングセンスってどうなんですか? 「都庁前」なんて、まんま『奇面組』(笑)。
ボーイズラブ
- 朝青龍と内館牧子の関係性もBL。「おまえのことを分かってるのは俺だけ!」みたいな。
- だから内館牧子も擬人化して置鮎龍太郎の声とかで……←内館さんは元々人間だから!(笑)
- BLと二次創作、というかやおいの違いについて。あくまで私見ですが。
BL | 二次創作 | |
---|---|---|
形態 | オリジナル | パロディ |
媒体 | 商業誌 | 同人誌 |
作られ方 | 作品の中に女性の願望が入る、ハーレクイン的 | 何もない原作に女性の願望を入れる、一つの解釈、読み換え |
萌え方 | 女性好みに描かれた男性像に萌える。 | 男性心理のリアリティに萌える。あくまでモビルスーツのリアリティみたいなリアルのレベルですが。 |
草食系男子
- 「日経ビジネス オンライン」の深澤真紀の連載で始めてこの言葉が使われた。出典がちゃんとしてる。
- 代表例は『サマーウォーズ』の健二。←あ、こいつ「健二」っていう名前だったのか。覚えて無かった(笑)。
- 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』では弁当男子で料理作るシンジくんを皆がもてはやす。95年のテレビ版では、料理というのは男子にとってひ弱の象徴だった。というか、ミサトが料理できないことを表現するエピソードの一つだった。
- でも、それだと弁当を皆が食べて「おめでとう」「ありがとう」で話が終わっちゃうよね(笑)。
さよなら絶望先生
やおい
- やおいの進化:「原作」→「サイドストーリー」→「ディフォルメ」……ときて、最後は「性転換」か「家族化」に行き着く。←この話、フロイトが聞いたら大変なことになりそうですね(笑)←あと、「最後に殺してしまう派」も←そんなのあるんですか!
- 「総受け」とは何か:人数の話じゃない。誰が相手でも受けに回るということ。←男としては、「総受け」と聞くと、どうしてもソフト・オン・デマンド的なものを想像してしまいます(笑)。
- 「受け」として良いのは、プライドが高くて強がっていても心が弱い、みたいなキャラクター。『シンケンジャー』の殿とか。誰に対しても強い位置にいる立場だけど、それが裏返る時にドラマが発生する。
- どうしてもさっきから朝青龍×内館牧子が気になる。「やっぱり相撲がとりたいです、内館先生!」(笑)←内館先生は女体化の逆ですね(笑)。
質問:『テニスの王子様』が連載再開されましたが、もはやテニスマンガじゃない気が……
腐女子にとってのお笑いについて
質問:女子にとっての『ラブプラス』は?
ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love
- 『ラブプラス』は元々『ときめきメモリアル Girl's Side 1st Love(以下GSDS)』のスタッフが作った。だから使用感が同じで、違和感無くプレイできた。
- 首筋ナデナデとかしてたんですよ〜(笑)。
- 電車の中でDS縦持ちしてる女性を見て、『DSGS』のプレイしてるんじゃないのと噂したりしていた。
- 『ラブプラス』と大きく異なる点は、おしゃれする為にバイトしたり、恋のライバルと競ったりしなきゃいけないところ。←男子はなめられているんですね(笑)。
- 何人かいる女性キャラクターが個別でライバルになったり親友になったりする。ライバルになると、それまで友達だったのに、ある日自分の顔を見たら走って逃げたりする(笑)。
- でも、それを乗り越えて友達状態を復活させてエンディングを迎えるのがより良いとされている。
- おしゃれも彼の為にする。同じ人に同じ服を二度着て会うと、「それ見たことある」とか言われる。←リアル男子は気にしないよ!
- これをプレイすると、女子の気持ちが分かりますよ(笑)。
- 恐ろしいゲーム。『どうぶつの森』で、家買ってローン払ったりしていると、ゲームなのに切なくなったりするのだが、それと同じ気がする(笑)。
- 仮想現実なのに現実より世知辛いですね。『アバター』の方が良いなぁ(笑)。
『メイちゃんの執事』
- カブト、電王……その他にも戦隊経験者が沢山。特撮ファンだった女子も取り込めるキャスティング。
- 逆に、『メイちゃん』からライダーに遡る女子もいる。
執事喫茶
- 去年、執事喫茶に修学旅行生が来ていて驚いた。わざわざ一ヶ月前に予約して、8人掛けテーブル席を二つくらい使っていた。その子達にとって、東京はタワーじゃなく執事喫茶なんですよ(笑)。単価も結構高いのに、パワーを感じました。
- メイド喫茶と執事喫茶は全く違う。女子は細かいことが気になる。店内はきちんとした内装なのに、トイレが普通だと興醒めする。
- だから単価も上がってきている。3000円じゃご飯食べられない。
- 執事喫茶は社会人になってから癒される。会社では上司にいびられてるけど、執事喫茶じゃお姫さま扱いみたいな。←いやー、高校生がバイトして通っていたりするんですよ(笑)。
- 働いている男子のレベルがホストっぽすぎても駄目。ギムナジウム・カフェなんかは劇団の俳優が練習とかでやってる場合も多いのだが、設定以外のことを聞かれると困る。
- 教員やっている親戚を連れて行ったら、「ここの学校の単位はどうなっているの? カリキュラムはどうなの?」と教員ならではの質問攻めで、すごい困っていた(笑)。
- 女子は執事喫茶に世界観を求めてる。男子はメイド喫茶に世界観を求めていない、ロボットには(世界観を)求めているけど。
『大きくふりかぶって』部室公開
- 単行本にて部室の詳細な設定が公開されたのだが、これは大きい。それまでは、皆勝手に二次創作を書いていて、あるかどうか分からないロッカーに押し付けたりしていた(笑)←部室が犯行現場なわけですね(笑)。
- 『テニプリ』も10.5巻とか20.5巻みたいなファンブックを出していたが、今思えばそれが重要だった。←男子にとってのMSVみたいなものですね(笑)。
女子にもファンが多い美少女アニメ
- さっきの『シンケンジャー』の話も同様だけど、女子が感情移入できる男子向けアニメの中の女性キャラが増えてきた。
魔法少女リリカルなのはStrikerS Vol.1 [DVD]
- 『魔法少女リリカルなのは』は女の子のための少年マンガ(という楽しみ方もできる)。恋愛に行かないで、自分のためとか人のために戦って=仕事をして、喜ばれる。恋愛だけじゃない。
- たとえば『マクロスF』のシェリル。アニメージュの人気投票で、女性票が男性票の倍来たりした。ミンメイが女子に嫌われてたのと対照的。←でも、『劇場版』のミンメイは違うよ。
オタク大賞で一番の受けは?
大賞
- そろそろ時間なんですが、大賞はどうしましょうか?
- やっぱり『シンケンジャー』でしょう!
- 「『シンケンジャー』の殿」じゃないんですか? 「『ウルトラマンメビウス』に登場した80」みたく。←殿だけにしちゃうと、殿と皆の関係性が反映されないんです(笑)。
- というわけで、まとめとしては、「関係性」ですね。
- あと、女子の萌えは男子のロボに置き換えると分かりやすいと(笑)。
感想
実際は「テニミュ」とか「戦国BASARA」とか、下記メモの何十倍もの情報量があったわけだが、あんまりよく理解できなかったり、興味を惹かれなかった部分については、メモしなかった。
「関係性」といういキーワードは、腐女子というか女子を語る上で重要なのだと思い知った。男子はスタンドアローンでもあんまり気にしなくて、常に自分とセカイとか、自分と会社とか学校とか家族とかいった中間共同体や群れとの関係で現実を認識するけれども、女子は一対一の関係が無数に連なっているような認識観を持っているのではなかろうか、極端な話でいうとだが。女子は一人でラーメン屋に入れない問題、なんかと絡めて考えると興味深いと思う。
あと、これはどうしても仕方のないことだと思うのだけれど、ガールズの代表であるところの三人が人前で喋るのにあんまり馴れてないふうなのは残念だった。頭に思いついたことを一般化して言語化するのに時間がかかるというか、司会の藤津亮太に「それってこういうことですよね?」と助け舟を出されて「そうです!」というのはある程度仕方がないと思うのだけれど、用意してきたレジュメや原稿をそのまま読むというのは流石に無しだろうと思った。
それでも、最後の方はマイクを離さず興奮して喋り続けるみたいな状態になって、最初からこういう状態だったならもっと面白かったろうにな、とも思った。何かに気を使ってボソボソしゃべるよりも、(ある程度計算しつつも)暴走して自分の言いたいことを言うよう方が、この種のトークイベントでは面白いと思うのだ。
コンティニューvol.50
さて、そんな中、創刊号から愛読していた雑誌「コンティニュー」が50号で一区切りとなり、「オトメコンティニュー」に生まれ変わることが発表された。
編集長はガールズサイド三人衆の一人、両角織江だ。
「コンティニュー」の、特に初期は、深夜のゲーセンを徘徊するとか、秋葉原でXBOX洋ゲーを買い込むとか、スタンドアローンであることを苦にしないゲーオタ男子のマインドが凝縮されたような雑誌であった。
それが段々とゲーム雑誌からアニメ雑誌へと変質し、他人の価値観への接続を重んじるようになり、遂には「オトメコンティニュー」だ。なんというか、私も歳をとるわけだなと思った。
でも、「オトメコンティニュー」の第一号は買ってみようと思う。第一号だけは。