DVDボクサー - 冒険野郎マクガイヤー

　BSアニメ夜話を観ていたら、「攻殻機動隊S.A.C.」をきちんと観たくなってしまった。

　なんかさ、これ制作が発表されたのって2001年か2002年くらいだったと思うのだけれど、その時友人の結婚式で会ったいかにもライトなアニオタっぽい人が「超楽しみだよ！」とか言ってて、ひいてしまったんだよね。そもそも私は押井守の映画版に比べていかにも一般アニメよりになってしまったキャラデザインに違和感があって（なんで皆スーツなのに草薙素子だけ半ケツなんだよ？的な）、押井が参加しないTV版がそんなに楽しみなのかよ？と、パトレイバー劇場版の後に押井がノータッチのTV版やるとして楽しみになるのかよ？と、変な嫌悪感を持ってしまったんだよね。オタクが一番嫌いなのはオタクなもので、今思えばちょっと損していたな。まぁ、若かったってことだ。

　で、ネットをウロウロしていたらポンド安のおかげで、amazon.ukを利用してイギリス版を購入すると非常にオトクだという話を発見してしまった。

英国Amazonでのお買い物が危険すぎる (2009年1月28日) - エキサイトニュース(1/3)

　イギリス版で1981円。そういうのもあるのか（孤独のグルメ風）。ポンドが若干高くなってしまったので今だと2000円弱だが、早速購入。いや、不況っちゅーのは悪いことだけじゃないよね。
　せっかくなので、他のアニメも買おうと色々と検索してみたのだが、イギリス版はどれもこれも安い。良いなぁ、イギリス。リージョンフリーのプレイヤーがあればアメリカ版も違和感なく買えるし。イギリスのアニオタは金さえあれば幸せかもな。

　だが、日本人としては複雑な気分になってしまうのも確かだ。

　まずさ、こんなに安価で売れるのなら、日本でもそうしろよ！と考えてしまうのだが、出来ないんだろうなぁ。
　第一の理由は日本人にDVDを買う習慣が無いってことだろう。いや、私や、このブログを読んでるキミ達は買うだろうさ。でも、そこいら辺で井戸端話に華を咲かせているオバちゃんはヨン様のDVDくらいしか買わないし、駅前でうんこ座りしているヤンキー達が大きくなってそこそこのお金を稼ぐようになっても、「スラムダンク」や「ドラゴンボール」や「タイタニック」くらいしか買わない。オバちゃんやヤンキーって、結構保守的だからな（最近のオタクもそうだが）。

　もう一つは株式を上場している企業としての、金儲けをする為に会社組織を運営してますよという体面をとっている組織としての問題だろう。
　想像するに、アニメ製作をプロジェクトとして組む際、決算期である3月を区切りとして○期内に利益を出す！みたいな計画で資本を集めている筈だ*1。で、黒字化する為には、一番最初に発売する国内版DVDはある程度の値段じゃないと採算あいません、ってことだと思う。その後、黒字だったにせよ赤字だったにせよ、一回国内で結論が出た後の海外版DVDは、制作に必要な予算は翻訳や海外の声優代くらいなものなので、安価にできるってことなんだろうな。
　ゲームなんかは最初から海外での販売を前提にした上で予算を組めるけれども、アニメはまだまだ難しいのかもしれん。と、ここまで書いてちゃぶ台を引っ繰り返すようだけれども、「世界の押井」を擁しているプロダクションI.Gは最初から世界展開することを前提で企画を立てられるのかもしれんけど、深夜にTVKやテレ玉で放映されてるようなアニメは違うだろうな。

　ただ、そう考えると、一昔前のTVアニメなんかはもうちょっと安価でDVD-BOX出せるんじゃないか、と思ってしまう。コンテンツを死蔵させるよりは、その方が良いと思うけどな。実質、新たな制作費はかからないわけだし。例えばハリウッド映画なんか、DVD発売から5、6年経つと一本1000円とか1500円とかで売ってるよね。

　そういうことをすると、高価なDVD-BOXセットが売れなくなる、という懸念も勿論あるよ。でも、ファンの裾野を広げる効果ってのが大きいと思うのだ。
　例えば今回の「攻殻機動隊S.A.C.」も、こんなに安価じゃなかったら買おうとは思わなかった。レンタルで済ませようと思ってた。つまり、安価なことで、新たな需要が発生したわけだ。

　買収で経営方針が変わった円谷プロも、初期ウルトラシリーズのDVDを一本1800円という低価格で販売していたりする。ティー・ワイ・オー傘下に入る前だったら考えられない値段だ。私は「セブン」のLDを持っているのだけれど、この値段ならDVDで買いなおしても良いかな、とも思う。
ウルトラセブン Vol.1 [DVD]
中山昭二, 森次浩司(現:森次晃嗣), 石井伊吉(現:毒蝮三太夫), 古谷敏, 円谷一;野長瀬三摩地;満田カズホ