アメリカとコロコロが最強コラボ!!:『まーべる・あべんじゃーず』
金曜のニコ生準備にけっこう手間取っている。準備完了するまでブログ更新するつもりは無かったのだが、とんでもない漫画を発見してしまったので軽く紹介したい。
なんと今月のコロコロにアベンジャーズの漫画が載っている*1のだ。その名も『まーべる・あべんじゃーず』。
今月頭から『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』なる『アベンジャーズ』の日本ローカライズ版アニメが放映されているのだが、そのタイアップらしい。
しかも、『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』は、一応シリアスなキッズ向けアニメなのだが、『まーべる・あべんじゃーず』はギャグ漫画だ。それも、コロコロというよりもボンボンや(自分が幼児だった頃の)テレビマガジンに載っていたような、タイアップギャグ漫画だ。
まず、ギャグ漫画向けにディフォルメされたデザインが素晴らしい。キャップはアイアンリーガー似、ハルクは白目、アイアンマンは牙みたいに処理されている口が可愛い。
更に、タイトルに踊る「アメリカとコロコロが最強コラボ!!」のコピーがいさましい。雑誌と国がコラボできるんだ!
アメリカ人には絶大な知名度を誇るアベンジャーズだが、日本での知名度はイマイチ。コロコロの読者にとってもイマイチだ。だから『まーべる・あべんじゃーず』もいきなり自虐ネタから始まる。
キャップの盾ネタとかやスパイダーマンの糸がうどんになるとかいった、いかにも小学生向けのギャグがアベンジャーズのキャラでやられると新鮮だ。「これがギャグ漫画の恐ろしさだ!」なんて台詞、本場のアメコミじゃデッドプールくらいしか言わないよな。
和むわー……などと思いながら読んでいたら、なんとソーはTシャツ姿で登場。税関で鎧を没収されたらしい。しかもTシャツには「オーマイゴッド」というプリントが。なんというネタ。衝撃だ。
基本的にはアベンジャーズのメンバー1人につき2ページを使うキャラ紹介する構成になっているのだが、おそらく編集者が書いたであろうミニコラムもなんだかおかしい。「やりたい放題だ」「停電のときに役立つ」……自分が小学生だったら、明日学校で話題にするレベルだ。
『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』でレギュラー格のワスプの紹介が無いのも実にコロコロ・ボンボン的だ。自分も小学生の頃は「女は敵」みたいに思っていたなあ。女性に興味を持つようになったらコロコロを卒業してジャンプやサンデーの読者になる――みたいなことを『定本コロコロ爆伝!!』で編集者も言っていたなあ。
月刊 コロコロコミック 2014年 05月号 [雑誌]
――というわけで、わずか16ページなのだが、このために500円払ってコロコロを買っても惜しくない内容だった。
作画……というか当然内容も考えているであろう著者は萬屋不死身之介先生。過去に『ヤッターマン外伝 ボケボケボヤッキー』なるボヤッキーを主人公とした漫画をコロコロで連載していたらしいが、おそらく一般的にはLINEのマスコットキャラクターの漫画化である『キャラクタイムズ』の方が有名だろう。
キャラクタイムズ 1 (少年サンデーコミックス)
萬屋 不死身之介
ヤッターマン外伝ボケボケボヤッキー 第1巻 (コロコロドラゴンコミックス)
萬屋 不死身之介
その昔、ボンボンで『仮面ライダーSD マイティライダーズ』という作品が連載されていた。本家『アベンジャーズ』と『まーべる・あべんじゃーず』の関係性は本家『仮面ライダー』と『仮面ライダーSD マイティライダーズ』との関係性に近いだろう。
仮面ライダーSDマイティライダーズ―完全版 (上)
石ノ森 章太郎 あおき けい
ただ、新鮮さが違う。映画や本家アメコミではあんなにスカしてるアベンジャーズが日本クソガキテイストたっぷりなギャグ漫画になると、こんなにも新鮮だとは!
コロコロは『まーべる・あべんじゃーず』を連載すべきだよ!
以下、蛇足。
蛇足その1
マーベルコミックはパラレルワールド設定(マルチバース)を採用していて、オンゴーイングの正史は「アース616」、ワスプがDVで殴られる『アルティメッツ』世界は「アース1610」、ほとんどのヒーローがゾンビになる『マーベルゾンビーズ』世界は「アース214」……というふうに、すべてのパラレルワールドに番号がふられている。実写映画版『アベンジャーズ』世界*2や我々が住む現実世界*3まで番号がついているのだ*4。
で、当然『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』にも番号がついていることと思うのだが、将来『まーべる・あべんじゃーず』にも番号がつくかと想像するとニヤニヤする。
蛇足その2
DCとマーベルはアメコミ界における一ツ橋系と音羽系みたいなものだと思うのだが、中でもマーベルのヒーローたちは昔から日本進出に積極的だ。
たとえば、宇宙忍者と名づけられたファンタスティック・フォー。
たとえば、10ページに渡ってオナニーするスパイダーマン*5。
スパイダーマン 【コミックセット】
池上 遼一
たとえば、巨大ロボットに乗るスパイダーマン。
スパイダーマン 東映TVシリーズ DVD-BOX
八手三郎
たとえば、『混淆世界ボルドー』を描いた市川裕文や子供向けお笑い学習漫画で有名なうおりゃー大橋の描くX-MEN。
Xーmen 4 強制収容島からの脱出の巻・超怪力!ジャガーノートの巻 (バンブー・コミックス)
市川裕文
たとえば、何故か日本にやってくるマッドハウス版アイアンマンやX-MENやブレイド。
エックスメン / アイアンマン / ウルヴァリン マーベル・コミックス3作品 コンプリート DVD-BOX (全36話, 810分) Xメン マッドハウス アニメ [DVD] [Import] [PAL, 再生環境をご確認ください]
ただ、それだけ進出しても、ウルトラマンや仮面ライダーのように、スパイダーマンやX-MENが根付くわけではなかったんだよね。
で、『ディスク・ウォーズ:アベンジャーズ』は友情、努力、勝利そしてタイアップ玩具がたっぷり詰まった、日本アニメよりも日本らしいアメコミ原作アニメなわけだ。『アルティメッツ』や『マーベルゾンビーズ』ではあんなにもビッチだったワスプが、お姐さん的ポジションなのも日本らしい。
そこから派生した『まーべる・あべんじゃーず』も、実に日本らしいというか、コロコロボンボンらしい漫画だと思うわけだが、前述した『仮面ライダーSD』や『ウルトラマン超闘士激伝』や『SDガンダム』が果たした役割を考えると、コロコロでアベンジャーズ関連作品が連載されるのは大きな意味があると思う。最近の20代30代だと「初めて作ったガンプラはSDガンダム(もしくは武者ガンダム)」という男はざらにいると思うのだけれど、10年後20年後に「初めて読んだアメコミヒーローは『まーべる・あべんじゃーず』」という20代が出てきてもおかしくないのではなかろうか、連載になったらの話だけれど。