井上敏樹大先生、そろそろスーパー戦隊に戻って下さい


 昨日やっと終了した「仮面ライダーキバ」であるが、結局、最後の最後まで面白いと思えなかったな。子供が観たがらなければ「剣」のように途中で視聴を打ち切ってしまったであろう。


 二世代に渡る物語を交互にみせていく語り口にあんまり意味がなかったことや、ガルル以外のアームズモンスターが空気だったりとか、色々といわれてるけど、つまらなかった最大の原因は「井上敏樹のライダーに飽きた」ということだと思うね、自分にとっては。


 「クウガ」の後半から参加して、「アギト」に「555」に 加えて「響鬼」の後半でメインを勤め、「龍騎」や「剣」や「カブト」でもかなりの話数を書いた後に「キバ」でまたメイン。劇場版や「FIRST」、「NEXT」といった映画の脚本も執筆。最早、井上敏樹にライダーという器で新しくやりたいことも、新しくやれることも無いのではなかろうか。


 もうさ、やけに自信過剰な主人公とか、やけにつっかかってくるライバルキャラとか、男勝りの勝気なヒロインとか、役割が済むとすぐさまコメディリリーフと化す脇役とか、完全なる勘違いと八つ当たりで憎悪を向けてくる迷惑キャラとか、彼ら彼女らがおりなす三角関係に四角関係とか、もう何回繰り返す気なんだよ!とテレビの前で突っ込む前にスイッチを切ってしまうのは私だけではないだろう。


 今回の「キバ」も「すわ!ライダーが昼ドラ化?」とか「名護さんが主人公なんじゃねぇの?」などと、ネットの一部で変な盛り上がり方をしたようだが、「フラッシュマン」から井上敏樹に注目してる私は騙されないぞ。正義の味方が地球の平和そっちのけで一人の女をとりあうってのは「ジェットマン」以来の得意技だし、すっかり用済みになったキャラがおざなり過ぎる扱いで逆に人気が出るというのも「アギト」の要潤や北條透で経験済みだ。


 あと、これは井上の責任かどうかは分からないのだが、せっかく主人公が人間とファンガイアのハーフというライダーとして満点な設定にしておきながら、ビジュアルとしてファンガイア体をみせないというのは映像面で「555」よりも後退してるよな。主人公が貝殻怪人じゃ困るってわけでも無かろうし。


 多分、井上にとってのライダーは「555」で終わっていて、後はたとえシリーズ構成の肩書きがついていてもヘルプ感覚で書いているんだろうな。


 が、しかし、またもや三角関係の要になる芳賀優里亜に至っては、女で釣ってテコ入れしようという魂胆がミエミエで、逆に面白かったりもした。そういや「アギト」や「龍騎」のテコ入れキャラはおっさんライダーだったのだが、おっさんが萌える美少女の方が良いって気づいたのだろうな。


 そうそう、最終回もちょっとだけ面白かったな。あの、「さらば電王」を観て三秒で考え付きました!というネタを正面きってやってしまうフットワークの軽さは実に良い。武田航平の顔見せという目的も果たしているし。井上敏樹にはこの種のスラップスティックなギャグを得意とする喜劇作家という面もあって、アニメで大爆発させているそのような面を存分に持ち込んだライダー、というのも観てみたい気がするのだが、「カーレンジャー」みたいに一年の最初から最後まで悪ノリというのをなかなかやってくれないんだよね.戦隊モノに比べて比較的年齢の高い層が訴求対象である平成ライダーシリーズで、一年中フザけっぱなしというのは難しいのかもしれん。でも、ライダーと怪人が料理対決とか、親父にそっくりな顔した息子が「まさお」というおざなりな名前で登場などという脚本は井上敏樹にしか書けないし、井上が現在やれる新しさはそこにしかないと思うのだけれど。


 そう考えると、やっぱり東映はそろそろライダーと戦隊のスタッフをまるきり入れ替えるべきだとおもう。やっぱり私は會川昇がイチから手がけるライダーを観てみたいし、井上敏樹が十数年ぶりに脚本を書く戦隊ものを観てみたいぞ。


……なんてことを考えていたら、「ディケイド」のシリーズ構成は會川昇らしい。おお、楽しみじゃ!「ディケイド」は最初から半年の予定らしいので、「妖奇士」みたいに思う存分暴れまわって欲しいなぁ。


 でも、火曜の夜にテレビを点けたら、電王にカブトにイクサにゲキブルーにボウケンイエローにイブキさんの弟子ですか。本当の「ディケイド」は「メイちゃんの執事」説に1000ガバス