第三次スーパープリキュア大戦α 終焉の銀河へ:『プリキュアオールスターズDX3 未来に届け!世界をつなぐ☆虹色の花』

そろそろ通常営業……ってわけでもないが、地震原発のことばかり考えても行き詰まってくるので、映画の感想なぞ書こうと思う。


毎年欠かさず観ているスーパープリキュア大戦映画こと『プリキュアオールスターズDX』を今年も観て来たのだが、今回は面白かったよ!


えー、知らない人は全く知らないと思うのだが、近年新しい映画ジャンルが誕生した。「スパロボ大戦映画」がそれだ。
スパロボ大戦映画」は下記のように定義される

  1. 少なくとも三作以上続いている長期テレビシリーズの映画化であり
  2. それぞれの作品において主人公を務めるヒーロー/ヒロイン達が資本主義的な要請から一同に介し
  3. 当初は全く他人だったり、いがみ合ったり、仲間内で戦ったりするものの
  4. 最後は一丸となって蘇った歴代幹部や再生怪人軍団や映画オリジナルなラスボスを倒す
  5. 旧来の「まんがまつり」とフォーマットは異なるものの、お祭り感は共通する映画


メリットとしては、既に世界観が出来上がり、固定客のついたコンテンツのヒーロー/ヒロイン達が一同に介するわけで、比較的安直に企画・製作し易い割に、相応の動員が見込まれる点にある。
そんなわけで幾多の昭和ウルトラ世界と平成ウルトラ世界が融合したり、平成ライダー昭和ライダーが戦ったりしたわけだが、メリットがあれば当然デメリットもある。

  1. どうしてもヒーロー/ヒロインの人数が多くなるので、キャラが被る奴等が出てくる
  2. それぞれにある程度の見せ場を作る必要があるので、構成に無理が出やすい
  3. ワンパターンになるので、続編が作り難い


ウルトラマンやライダーはオリジナル主人公やポストモダンドラマツルギーの導入でこれを回避してきた。本家スパロボがオリジナル主人公ばかりを集め、多元世界が戦争するスパロボ大戦を発売したのなんて、この回避方法を更に進めたものであると思う。
スーパーロボット大戦OG オリジナルジェネレーションズ
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しかし、スパロボ映画的にまだ歴史の浅い『プリキュアDX』は、二作目『DX2』にて既に上記デメリットにハマりこんでしまった。新シリーズの開始時の顔見世映画としての役割があるので「オリジナル主人公」という選択もとりづらい。
映画プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!【特装版】 [Blu-ray]
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そこで今回の『DX3』がとった手法は「チームのシャッフル」であった。
今回、参戦するプリキュアは総勢21人。「いつの間にか凄い数だな」と敵にも言われる多さだ。21人全員で敵と戦っても、面白い映画にはならない。観客が認識可能でなおかつカッコイイ画作りができるのは数人が限度だからだ。
そこで、プリキュアたちは「異世界に飛ばされる」という形で3チームに分けられる。何故か主人公格ばかりが集まったピンクプリキュアチーム、主に知性派ばかりが集まったブループリキュアチーム、そしていろもんプリキュアばかりが集まったイエロープリキュアチームの3つだ!
いやー、「絶対あきらめない!」とか「パートナーを信じてる!!」とかお馴染みのプリキュア説教を叫びまくるピンクとブルーチームに比して、「6人目の戦士」ばかりが集まったイエローチームの楽しいこと楽しいこと! 性格的にはピンクチームに入りそうなのに、ツッコミ役としてイエローチームに強制加入させられたキュアルージュの力かね? あ、でも常にオレ様状態のキュアマリンにツッこむキュアベリーという構図が連続するブルーチームも良かったな。とにかく、スパロボ映画として観たかったのは、こういうヤツだよ!


その他、「もう三回目だから分かってるよね?」とばかりに開始15分でオールスター設定とラスボスと勝利条件を全部台詞で説明する豪快さ、バンクではなく書き下ろしの必殺技シーン、受け継がれるライダー魂じゃなかったプリキュア魂、泣きで押してきたクライマックス、豪華すぎる声優と見所揃い。一人二役の多さもスパロボ的だ。大きなオトナも是非劇場での鑑賞をお勧めしたい。子供にキモがられても劇場に行くべきだね!



自分はどうかというと、あんなエントリを書いたものの、子供が帰省中だったので一人で観たよ。地震シネコンが軒並み閉鎖中だったせいか都内の劇場は軒並み昼が満員で、結局バルト9のレイトショーで観たのだが、やはり9割9分男客だった。汗臭さ漂う中で観るプリキュアは最高ですよ! こういう状況が初めてらしく、「男ばっかりだよね? ばっかりだよね?」と興奮してる大学生オタグループ(無論、コイツらも男)も昔の自分をみているようで微笑ましかったな。
でもミラクルライトは幼児限定だったので、劇中でいくら妖精たちに促されてもプリキュアに力を与えられないのだった。大きなおともだちの下心に溢れた光はいらんということか。