2010オレ映画ベスト10

えー、すっかり正月気分も無くなったのだが、あけましておめでとうございます。
更新しないクセがつくとイカンねぇ。ちょっと野暮な仕事を引き受けたり、子供からおたふく風邪なんぞ感染されたこともあって、また二週間ほど放置してしまったよ。


本来なら年末にやるべきだったのだが、一つの区切りということで、ここらで一発2010年のオレ映画ベストテンなんぞ発表してお茶を濁そうかな。


1、『ヒーローショー』
ヒーローショー [DVD]
B0040X2XSK
今年、一番の痛みと閉塞感を感じた映画。
パッチギ!』や『岸和田少年愚連隊』や『ガキ帝国』が自身の青春時代を謳いあげた映画だとすれば、本作は明らかに「今」の若者世代へ向けた鎮魂歌のように思える。
参考:おれ達のスタンド・バイ・ミー:『ヒーローショー』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな
その後、ジャルジャルが『めちゃイケ』の新メンバーとなったのも、井筒監督のフィルムグラフィーを考えると興味深い。


2、『十三人の刺客
十三人の刺客 [DVD]
B000V9FS5W
覚悟完了した十三人がジョーカーと対決する、一大エンターテイメント。ここ十年で観た時代劇の中で一番良かった。
SMAPライフという太平の世に飽き飽きしている稲垣吾郎の怪演が素晴らしいのと同様に、絶対に参加出来ないと思っていた命のやり取りに思わぬ形で参加できた嬉しさ(しかも「天下万民の為」という建前つき)から、生き生きとデスゲームで刀を振り回す役所広司の快演も良い。絶対に三池崇史にしか撮れない傑作。もしかしてコイツが真の被害者じゃ?
と想像させられる最後の台詞も良い。


3、『ジョニー・マッド・ドッグ』
ジョニー・マッド・ドッグ [DVD]
B0042XAH6S
中学の部活感覚で戦争に参加する衝撃の少年兵映画。
出演者のギラついた目とか、銃器の扱いの巧みさとか、喪失感をたたえた表情などのリアルさは、おそらく同じような方法論で作ったであろう『シティ・オブ・ゴッド』と共通しているが、衝撃度で軽く越えてしまった。
そんな映画に、こっそり『フルメタル•ジャケット』のパロディ(というかオマージュ)を入れ込んでいるのもグッド。


4、『息もできない』
息もできない [DVD]
B003ZX8FAG
ここ最近の韓国映画には驚かされることが多いのだが、軽い気持ちで観にいったら驚愕した一本。映画で大事なのはテクニックじゃなくて心の底から発する熱い想いだということがハッキリと分かった。韓国版『竜二』みたい……ってのは、ちょっと違うかな。


5、『かいじゅうたちのいるところ
かいじゅうたちのいるところ Blu-ray&DVDセット(初回限定生産)
B002SSSUGS
子供向けとみせかけて、完全にオトナ向けな映画。色調とか音楽とか背景とか、あらゆる所に「痛み」を感じるのだが、同時にかいじゅうたちの造形や島の美しさに、作り手の優しさや共感も強く感じる一本。
参考:このへんなかいじゅうたちは まだこころのどこかにいるのです。たぶん。:『かいじゅうたちのいるところ』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな


6、『復仇 Vengeance(冷たい雨に撃て、約束の銃弾を)』
冷たい雨に撃て、約束の銃弾を [DVD]
B00418546C
最低な邦題がついてしまったが、中身は最高ないつものジョニー・トー映画。おまけに、今回はキャラクターを利用して本家フランスのノワール映画に仁義をきる内容ときたもんだ。必見。
参考:蘇るアニキ:『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな


7、『キック・アス
ボンクラがマンガの中のヒーローを助け、握手を求められるという、全てのボンクラの夢を等身大で叶えた(ここ重要)素晴らしい映画。ヒット・ガールに萌えるより、キック・アスの昏くて熱い魂に燃えろ!
参考:ボンクラ映画・オブ・ボンクラ映画s『キック・アス』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな


8、『イエローキッド
『ヒーローショー』が一つ下の世代に向けた鎮魂歌だとすれば、同世代というか若者である自身の怒りや痛みがきっちりと表出しつつ、しっかりとしたエンターテイメントにもなっている傑作。ヤクザやマフィアとかではなく、DQNの暴力というのをしっかり描いていたのも良かった。
東京藝術大学大学院映像研究科第三期生修了作品集 2009[D
4904049101

この映画、監督の大学院の修了作なのだが、なんとこのDVDで観れるらしい。せっかくなので、自分もAmazonで注文したぞ。
参考:おれたちの暴力:『イエローキッド』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな


9、『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国
シリーズ仕切り直しの前作から完全にウルトラマン視点で話が進むようになったわけだけれども、それでなにをやるかと思えば、兄さんたちと同じように異星の心美しい若者に共感し、同化し、共闘し、救い、別れるさまをウルトラマン視点でやるという、シリーズ新生に相応しい映画。なおかつ、スペースオペラものとしてみても、『SPACE BATTLESHIP ヤマト』の100倍出来が良い。
本作についてはまだ公開中なこともあって、きちんcと感想書くつもり。


10、『ビッチ・スラップ』
ビッチ・スラップ [DVD]
B0047734TQ
ビッチVSビッチVSビッチ! 『ファスター・プッシーキャット キル!キル!』へのオマージュとみせかけて、実は全ボンクラ映画にリスペクトを捧げた大快作。おれたちが観たかったのは、実のところ『エクスペンダブルズ』でも『マチェーテ』でもなく、ビッチだったとは……気づかなかったぜ!
欲をいえば、これで回想シーンがグリーンバック合成じゃなければ最高だったのだけれども、それは無いものねだりってヤツだよね。


その他、『告白』『悪人』『カラフル』『トイストーリー3』『ヒックとドラゴン』『第9地区』といった映画たちもベストテンに入れるべきかどうかウンウン悩むくらい面白かったのだが、せっかくなのであんまり話題にのぼらない映画を優先させた方が良いかなと思い、こういうランキングにしてしまった。


また、2010年公開ってわけじゃないのだが、2010年にはじめてみた『ヤノマミ』と『エル・トポ』が、かなりの衝撃作であった。


前者は長文で感想を書いたので、気になる人は一読を。
NHK-DVD ヤノマミ~奥アマゾン 原初の森に生きる~[劇場版]
B003MUWJ72
センス・オブ・ワンダー:『ヤノマミ(DVD)』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな
ザ・リアル・センス・オブ・ワンダー:『ヤノマミ(書籍)』 - 冒険野郎マクガイヤー@はてな


アレハンドロ・ホドロフスキー DVD-BOX
B004AM6Q9I
後者は超有名作なのだけれど、不勉強にも今年初めて見たのだ。いやー、大好きな『落下の王国』がパクリとかパクリじゃないとか言われる理由が初めて分かったよ。