芋虫レイプレイ牧場

コミックビーム 2009年 06月号 [雑誌]
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 承前 芋虫プレイ - 冒険野郎マクガイヤー@はてな
 コミックビームに掲載された丸尾末広の「芋虫」初回を何度も読み返している。やっぱりさ、これが「表現」というヤツなのだと思う。そして、これを何の制限も検閲もゾーニングもなく、街中の本屋で買える素晴らしさ。
 江戸川乱歩の原作も、そして来るべき丸尾末広の漫画版の完成形どちらにも共通することだと思うのだが、小説発表当時ならいざ知らず、この平成の世の中で、これはブンガクでなくてただの変態俗悪作品だとか、有害だから規制しろだとかいう人って皆無だと思うんだよね。いや、極少数の変人がそういうことを口にするかもしれないよ。でも、「芋虫」は「サディズム」や「マゾヒズム」に加えて「残虐性」や「戦争」や「イノセンス」や「恋愛」といったものをテーマにしていて、それらが人間の内奥に潜んでいる限り、ブンガクというカテゴリーに留保し続けるんだよな。我々はジョニーが戦場へ行く十年以上前に戦場から戻ってきた「芋虫」を誇りに思わねばならん。


 でも、どうやら「エロ」が入ってくると話は違うようだ……などと感じた原因は、今話題の、女を痴漢して強姦して孕ませて堕ろさせるゲームへのバッシングだ。

 問題のレイプゲームは、横浜市のゲームソフトメーカーが制作し2006年から販売していた。未成年とみられる少女2人とその母親を地下鉄車内で痴漢した後、監禁し、妊娠や中絶に至るまでを疑似体験するというパソコン用ゲーム。暴行を重ねるほど得点が得られる仕組みで、レイプという犯罪をゲームとして楽しむ内容が、英国の国会でも問題視された。

 「イクオリティ・ナウ」の理事で弁護士の角田由紀子さんは、「メーカーが販売を中止したことは歓迎するが、特定のゲームだけが問題なのではない。類似の商品が多い状況は変わらない」という。

http://www.yomiuri.co.jp/net/security/s-news/20090513-OYT8T00357.htm


 しかも、ここで話題になっている「ゲーム」ってのは、illusion社の「レイプレイ」のことであるらしい。

日本のアダルトゲーム「レイプレイ」、米国で抗議キャンペーン 開発企業は一蹴 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

Q:レイプレイってタイトルのわりに、最初以外レイプせんのやけど。

A:同じillusionソフトから出ている「バトルレイパー2」をご存知でしょうか。あっちはもっとひどいですよ。レイプのレの字も出てきません。気絶している女の子の胸をこっそり揉む程度で精一杯な、紳士的レイプゲームです。

http://www.geocities.jp/mm_watervein/rehabili/capture/raplay.htm

 上記のように、意外に紳士的なレイプゲーム(笑)なのになー。しかも、最後に主人公が刺されて終わるというオチが律儀につくし。


 なんかさー、単なる「残虐性」や「戦争」や「イノセンス」や「恋愛」はOKだけれども、そこに「エロ」が入ってくると駄目らしいのな。それも「エロ」と「暴力」のコンボが最もNG。どちらも人間を人間たらしめている要素であることには変わりないのに、それらを扱うとブンガクじゃなくなるのだ。

と言う訳で、官憲には徹底した弾圧を望む。連中、ちょっと揉んでやった方がいい。何かと言うと「表現の自由が」「表現の自由が」って黄色い声張り上げやがって。市場と法律に守られないとエロひとつできんのか。違法なのは恐いっ、無法地帯で怪しいぽん引きみたいな奴を探さないと買えないとかいうの恐いっ、時々中何にも入ってないディスクとか掴まされるの恐いっ、摘発されたら人生おじゃんなの恐いっ、だから表で普通に流通させて普通に売って、ってか? 当たり前だろうが、エロなんだから。痴漢で強姦で中絶させるゲーム、って、誰からの顰蹙も買わずに堂々とできるもんだと思ってるのか? やってることがバレた後でなお同じマンションに住む隣のおねえさんやおばさんから普通の近所付き合いをして貰えると思ってるのか? 実の息子でもたたき出したいと思う親はいる筈だぞ。立派な家父長なら裏の窪地に連れ出して射殺するだろう。一家の恥だ。そういうものなんだから、やるならそういう覚悟でやればいい。どっからどう見ても反社会的エロ妄想を商品化したり消費したりしている癖にお国に守って貰いたがってる連中って一体何なんだ? 地下に潜れよ。情けない。

2009.5.14: 日記


 常に自作の中で「暴力」を扱ってきた佐藤亜紀にしても、「エロ」に対しては不寛容だ。
 私はさ、どっからどう見ても反社会的なエロ妄想を詰め込んだ作品や商品がそこいら辺の本屋やゲーム屋で買えるってのが、素晴らしい世の中だと思うんだよね。こっそりオナニーして精液にまみれた直後の手で、マンションに住む隣のおねえさんやおばさんに回覧板を渡したり、息子や娘を笑顔で保育園に送り届けた後、その笑顔を維持したまま痴漢で強姦で中絶させるゲームを楽しむってのが、一般的市民の一つの形であると思うんだよ。隣のおねえさんやおばさんには「きんもーっ☆!」と蔑まれるかもしれないけれど、おいちゃんやアニキには「ボンズ、あんまりシコりすぎると馬鹿になるから気をつけろよ」と笑顔で語りかけられるかもしれないではないか。ていうか、それが私の日常生活そのものなんだけどな。


 や、勿論「レイプレイ」はエロゲーで、妊娠や中絶を男と女の問題として真面目に扱ってるわけじゃなくて、私のように年に一回もセックスできない人間がオナニーする時の興奮材料として「妊娠」や「中絶」という要素を使ってるだけだ。でもさ、それならそれで、何でオナニーする時の妄想まで国家に管理されなきゃならないんだ?って話ですよ。
 以前、若者が包丁で大人を刺し殺す事件が頻発した時に、「報道ステーション」で古館伊知郎が100円ショップで大量に包丁が売られているさまを取材した映像の後に「こんなのが簡単に手に入って良いんでしょうか?」なんてコメントしていて、じゃオマエは包丁一本買う為に役所にハンコ押した書類提出する世の中が正しいと思ってるのかというツッコミを多くの人がしていたのだけれど、オナニーする時は実在する自分の彼女とか国民的美少女とかNHKの朝の連ドラのヒロインみたいな小娘をネタに妄想するのが正しい世の中ってことなのか!自由にオナニーもできない、そんな世の中にポイズン!


……まぁ、真面目に書くと、ここで問題になってるのは表現の自由というよりも、女性を性の対象としかみない、モノとしてしかみない価値観である、ってのは分かるよ。
 でも、世の中には、一応建前だとしても、思想・信条の自由があって、女性をモノとしてしかみていなくても、女性は妊娠して中絶する機械であると思っていても、それを実践しなければ罪に問われない筈なんだよな。だから柳沢元厚労相も、バッシングはされても罪に問われることはない。私が目の前にいる女性を犯して妊娠させてやりたいと思っても、実行しなければ問題無いし、それが自分の嫁だったら実践しても無問題だ。価値観の保持それ自体が罪に問われる社会を、我々はファシズムもしくはファシズム体制と呼んでいたんじゃないのか。

だけど、フィクションならいいわけじゃないよ。

某エロゲ問題へのブクマコメントが怖い


 いや、いいんだよ!フィクションならなんでもいいんだよ、究極的には。私には単なるフィクションである「レイプレイ」よりも、目に見える形で被害者が出そうな「男の子牧場」の方が問題に思える。


「男性を家畜扱い」「個人情報どうなる」 婚活サイト「男の子牧場」に批判殺到 : J-CASTニュース


 ただこれは、ここにきてちゃぶ台を引っ繰り返すようだけれど、女性が常に男性に抑圧された存在であり、搾取の対象であり続けていたという歴史的経緯を考えると、ある程度仕方の無いことなのかもしれないな。
 もしこれが「女の子牧場」であったら一瞬にして大問題になっていた筈だし、「芋虫」も、もし男女が逆だったら現在のような文学的評価を受けていなかっただろう。佐藤亜紀も女だ、「ミノタウロス」とか読むと信じられないけれど。
ミノタウロス
佐藤 亜紀
4062140586


 でもさ、本当は、男女平等ってのは、歴史的経緯とか現状とか男性は妊娠も中絶も出来ないとかいった肉体的相違に無関係に、アプリオリに男女平等である筈なんだよな。黒人やユダヤ人が過去歴史的に差別され迫害されてきたから、現在ちょっとおトクに扱われて良いってのが暴論であるのと同様に。


 多くの女性は男性ほどオナニーをしないと聞くし、きっとそこいら辺に問題があるんだろうなー、と鼻くそホジりながらちんこ弄って今日は終わり。
 ああ、私はillusion社の「人工少女3」というゲームが大好きなのだけれど、続編はきっと陵辱成分が薄くなるんだろうなー。
人工少女3 通常版
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